マスダ動物病院のエピソード
輝ちゃんからの贈り物 2
連休が終わり、保護してくださった方がその子を連れて来てくださいましたが、やはり面倒を見ることはできないと、申し訳なさそうに仰いました。私が面倒を見ることをお伝えしたら、本当に安心されて喜んでくださり、柔らかな毛布を置いていってくださいました。
私は早速、その子の名前を考えました。
「これまできっと大変だっただろうから、これからは『光り輝く未来』になるように、『輝ちゃん』にしよう!」
すぐに決まりました。

 

その日から、輝ちゃんとの生活が始まりました。
まずは、ボサボサのくっさ〜〜い毛をジャカジャカ切ってみました。強烈な臭いなのですが、されるままにおとなしくじっとしている輝ちゃんの姿があまりにも可愛くて、
「やっぱり良かったなぁ。輝ちゃん、絶対に幸せになろうねえ」
と、楽しく話しながら切っていきました。
続いて、シャンプーです。
輝ちゃんの体から流れ落ちるお湯は即座に血が混じって茶色になり、ボロボロと汚れが落ちていきました。輝ちゃんの今までのアカをすべて落とすように、ごしごしと洗い流しました。
かなりスッキリ爽やかな輝ちゃんの出来上がり。以後、毎日の注射・お薬・薬浴の治療の日々が始まりました。

 

輝ちゃんは、我が家に来て初めての夜も鳴くこともせずとてもおとなしく、昼間もうんちとおしっこもちゃんと待っていて、待ちきれない時だけ呼んで知らせる本当におりこうな子で、のんびりぽよよ〜んとした表情で私たちをほっとさせてくれていました。
ちなみに輝ちゃんは「おすわり」はできませんが、「待て」は大得意です。

 

そんなある日曜日の夜、輝ちゃんが首輪から頭をすっぽり抜いた形で、リードについた首輪だけその場に残し、突然どこかに姿を消してしまったのです。いつものようにフェンスにリードをかけて、うんちとおしっこのため、しばらくの間そのままにしておき、急患の方の治療が終わってから中に入れようとした時、輝ちゃんがいなくなったことに初めて気付いたのです。
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