ぷっぷちゃん、しあわせになろうね

2020年の3月に、愛犬ハ~ト君と突然のお別れをしました。ハ~ト君の存在があまりにも大き過ぎたので、その現実をなかなか受け止めることが出来ずにいました。
これまでにも沢山の子とお別れをしてきました。どの子のお別れもとても悲しいものではありましたが、スタッフのみんなと一緒に棺の中に思い出の写真やお花をいっぱい入れて、しっかりお別れをした後は、それなりに受け止めることが出来ました。

それが今回ハ~ト君とお別れした時は、胸にぽっかりと大きな穴が開いてしまい、ずっと悲しみの中にいて笑うことも出来ず、普通にしていても思い出しては涙が出てしまうのです。
どうも初めてペットロスになってしまったようでした。
“やっぱり動物と一緒にいたい”そんな思いから、主人の提案で病院で飼っていた猫の愛花と共に暮らすこととなりました。
でもやっぱりワンちゃんと暮らしたい思いが強く、愛花と暮らしながらある計画が進んでいました。

元々ハ~ト君がいた時から、白いプードルを飼いたいと思っていました。初代わんこのミルキーも、二代目のルイちゃんも白いプードルでした。
その次に来た三代目のわんこはビションフリーゼのハ~ト君でしたが、またいつか白いプードルと一緒に暮らしたいとずっと思っていたのです。

そして5月に出産予定の仔犬を我が家に迎えることに決め、2週間後に「生まれました!」と連絡が入りました。
それがなんと7匹も生まれたと聞いて、ビックリ!!
ハ~ト君が我が家にやって来たのが15年ほど前なので、久々の仔犬との生活になります。

いよいよ仔犬とのご対面です。首に赤や黄色・ピンクの目印のリボンを付けてもらっていましたが、目印がないとみんな同じように見えてしまいます。
それでもしばらく見ていると、体の大きさや頭の形、そして活発さなどから違いが見えて来ました。
でもまだ小さ過ぎてプードルのクリクリッとした瞳や、ふわふわっとした愛らしい感じはこれからで、この時点ではどの子がいいかは決められませんでした。
我が家としては、あまり活発過ぎず、のんびりした感じの子がいいなと思っていました。
「それならピンクちゃんかレッドちゃんがいいかも!」とブリーダーさん。
ということで、ピンクちゃんかレッドちゃんが我が家の候補となりました。最終決定は7月に入ってから・・・。なんだか楽しみ♪
7月9日、最終決定の日がやって来ました。3週間ぶりに見た仔犬達は随分大きくなっていて、プードル独特の可愛らしさでもう最高です。
体の大きさや顔の表情など違いは出て来ていましたが、どの子も同じ様に可愛らしくて、「やっぱり仔犬っていいものだな~」と改めて思いました。

前回「おっとりしている子を希望しているなら」と、ブリーダーさんがピンクちゃんかレッドちゃんを薦めてくださっていたのですが、我が家は代々男の子なので、「たった一匹の男の子とご縁があるのかも!」と気持ちが揺れてしまいました。
しかしその子は先に希望されている方がいるとお聞きして、ご縁がないのだと諦めがつきました。
ということで、前回候補に上がっていたピンクちゃんとレッドちゃんに八割方心が決まっていたのですが、その後、無しとなったはずの唯一の男の子の青君が、希望されている方が他の子に決められたと伺って、また候補に上がってしまいました。
更に「ピンクちゃんがおっとりさんだと思ったら、意外に強かったんですよ~」とブリーダーさんから言われ、見ると他の子を何度も噛んでいる姿を目にして、ちょっと引いてしまいました。候補に上がった青君も可愛いし、迷いが出て来て頭がゴチャゴチャに・・・。
そんな時、ブリーダーさんがその中の一匹のワンちゃんについて話し始めました。

どうもその子は心臓に疾患があり、生後34日齢で手術を受けたというのです。こんなに小さくて心臓の手術をしたのかと、とてもビックリしました。
それがそれまで一度も目に止まらず、ブリーダーさんからもお話にあがらなかった緑色のリボンを付けたみどりちゃんでした。
その後ブリーダーさんがちょっとその場を離れた時に、主人が「僕この子を飼ってあげたい」と小声で言うのです。
「この子を他の人が飼って、もしその後に何かあったらその人も可哀相だよ。僕なら何とかしてあげられるかもしれないから、僕が飼ってあげたい。葉子はどう思う?」と聞かれて、なんだか思いが優しくて素敵だな~と思いました。
反対する理由もなかったので、すぐに「いいと思うよ」と答えました。
早速ブリーダーさんに、その子を飼ってあげたいとお伝えすると「もしこの子に何かあったら困るので、一般の方にはお渡しできないんです。懇意にしているボランティアさんにお願いして、こういう子を是非飼ってあげたいという方もいるので、そういう方に飼ってもらうようにするつもりなんです」とお話をしてくださいました。
自分が獣医師であることが分かると変に気を使わせては申し訳ないという思いから、今までそのことについて敢えて触れずにいたのですが、ここで初めて自分が獣医師であることと、みどりちゃんへの思いをお話させて頂きました。

見るとそのみどりちゃんは本当に可愛らしい子だったので、更に嬉しくなりました。
話がとんとんと決まった直後に、それまではサークルの中のどこにいるのか存在感の無かったみどりちゃんが急に前に出て来て、サークルから顔や手を出してアピールして来たのには本当にビックリしました。
ブリーダーさんも、みどりちゃんのそんな姿を初めて見たと、驚かれていました。
あんなに迷いに迷っていた気持ちが、こんな流れで何の迷いもなく一瞬の内に決まって、本当にスッキリしました。ご縁というものは、こういうものなのだなぁと改めて思いました。

まずはこの子を迎える準備を始めることとなりました。
そして仔犬のお迎えが7月24日に決まり、お迎えの当日となりました。
2週間ぶりのこの日も仔犬達はとても元気で、じゃれ合ってひっくり返ったり、トイレのトレーの端を噛み続けていたり、みんな活発に動き回っていました。

「みどりちゃん、もう私達のことが分かるの?」
この日、これまで一緒にいたみどりちゃんを連れて行ってしまうということで、ずっと仲良くしてくれていた姉妹にありがとうの思いを込めて、一匹ずつ抱っこをさせて頂きました。
特にみどりちゃんを産んでくれたポテトママ。
私達人間がワンちゃんとの豊かな暮らしを手にするために、こうして身ごもりお乳を与え育ててくれる、それがその子のお仕事だとしても、産んだ子供に対する母性は必ずあるはず。
だからいっぱいの「ありがとう」と「みどりちゃんを大切にするからね。これからママも幸せになってね」の思いを、そっと伝えさせてもらいました。

ママのことをのぞき込むみどりちゃんの姿がなんとも愛らしく感じると共に、お母さんから離してしまうことがちょっと申し訳ないと言うか、切ない気持ちが湧いて来てしまいました。
でも、だからこそみどりちゃんを幸せにしなくてはと、その責任も感じました。
最後に新しい家族になるべく手続きをして、ブリーダーさんの元を出発です。
こうして緑色のリボンのみどりちゃんとの新しい生活がスタートすることとなりました。
その後、みどりちゃんはぷっぷちゃんという名前で我が家の家族となるのですが・・・その後のお話は「病院の仲間たち」に掲載しておりますので、そちらも是非ご覧ください。
ぷっぷちゃん、これからうんとしあわせになろうね♡

担当 増田葉子