第57回
【知って得する動物の病気の豆知識 その53】
「歯磨きのすすめ」
最近は動物たちも予防医学の考えが浸透してきました。
予防もフィラリア予防やジステンパーに代表される死亡率の高いウィルス性伝染病の予防注射(ワクチン)だけでなく、病気の早期発見に役立つワンニャンドック(人間ドックの動物版)の様な定期検査や歯周病予防のための歯磨き等、飼い主さん側も動物病院側も重要視するようになってきました。
そこで今月は「歯磨きのすすめ」と題して、動物たちの歯の管理についてお話し致します。
毎日毎日歯を磨くという事は、とても手間がかかる事だと思います。しかしそれを実行している飼い主さんのわんちゃん・ねこちゃんの歯を見ると驚くほど真っ白できれいなものです。お宅のわんちゃん・ねこちゃんの上唇の横をめくり上げて上の歯を奥まで見てください(特に上の奥歯は歯石がたまりやすい場所です)。
日頃なかなかそこまで目が行き届きませんが、これは大切な事です。
付いていればそれは歯石です。歯石は歯茎との境目や歯と歯のすきまから付き始め、段々歯の全体に広がって行きます。
赤くなっていればそれは歯周炎が起きているサインです(歯石や歯石の元であるプラークが引き金です)。
本来は仔犬・仔猫として飼い始めた2〜3ヶ月の頃から口の中に大人しく指を入れさせる練習や歯茎を優しくマッサージする練習から始め、最終的には歯ブラシを使って歯を磨いても嫌がらないように練習して、毎日歯磨きが出来るようにしつけを行っていくことがベストです。本院ではパピークラス(生後2〜5ヶ月間の社会化のために一番大切な時期の仔犬のしつけ教室)のレッスンの一つとして歯磨きに慣れさせるレッスンを行っています。しかし大人になってからでも性格のおとなしく、飼い主さんとの絆ができている子であれば歯磨きに慣らす事は十分に可能です。
最初は絶対に力ずくで無理やり行ってはいけません。嫌なイメージを一度でも与えてしまうと次からもっと抵抗するようになってしまいます。「・・・ちゃん、いい子だね〜」とか「・・・ちゃん、歯磨き楽しいね〜」と優しく声をかけながら、最初はすこしずつ、嫌になる前に短時間でおわりましょう。
歯ブラシを使って歯磨きをするのは最終目標です。まずは唇の横の隙間から指を入れ(無理に口を開けると嫌がるので軽く口を閉じたままやるのがポイントです)頬と奥歯の間(飴玉をしゃぶる所)に入れた指で歯と歯茎の境目を優しくマッサージすることから始めましょう。それに慣れてきたら、歯磨き用ガーゼを指に巻き、少量の水をつけ、同様に行います。それにも慣れたら軟らかめの歯ブラシ(小型犬はヘッドの小さな市販されている小児用歯ブラシでOKです)に替えて行きます。(咬む危険のある場合は無理に行わないで下さい。咬まれてしまっては大変です)
動物病院では何種類かの動物用歯磨きペーストをご用意していると思います。好きそうな味を選んであげて下さい。泡も立たずそのまま飲み込んでも大丈夫です。第一段階の指でのマッサージの時から使用してあげて下さい。きっと歯磨きのイメージが良くなると思いますよ。
お利巧に出来たときは「いい子だね〜!」と思い切りほめてあげて下さい。ご褒美として好きな食べ物を少量あげたり、好きなおもちゃで遊んであげるなど、喜ぶ事をしてあげるのも良いでしょう。折角、歯を磨いた後なので与えるのなら歯石予防効果のあるおやつをあげるのがベストです。
主に歯の外側を磨きましょう。歯の内側は自然と歯とこすりあっているので外側に比べて歯石は付きにくい場所です。しかも歯の内側を磨くことは口を開けなくてはいけないのでとても大変です。しかし磨かせる子は磨いて行きましょう。丁寧に磨きたい場所は前歯の歯間とそれ以外では歯茎との境目です。重点的に!!
そのためにも、この「動物病院だより」が少しでもお役に立てればと考えております。
他にもこんなことが知りたいということがあれば、お電話でも「ペット相談室」でもお気軽にご相談下さい。
予防もフィラリア予防やジステンパーに代表される死亡率の高いウィルス性伝染病の予防注射(ワクチン)だけでなく、病気の早期発見に役立つワンニャンドック(人間ドックの動物版)の様な定期検査や歯周病予防のための歯磨き等、飼い主さん側も動物病院側も重要視するようになってきました。
そこで今月は「歯磨きのすすめ」と題して、動物たちの歯の管理についてお話し致します。
あなたは、お宅のわんちゃん・ねこちゃんに歯磨きをしていますか?
おそらくある程度の方は、歯石予防のフードやおやつ、あるいは噛む事で歯石を予防するおもちゃなどは実行してはいるものの(これらの歯石予防効果は少しはあるものの歯磨きの歯石予防効果にまさるものではありません)、実際に歯磨きを行っている飼い主さんは非常に少ないのではないかと思います。
毎日毎日歯を磨くという事は、とても手間がかかる事だと思います。しかしそれを実行している飼い主さんのわんちゃん・ねこちゃんの歯を見ると驚くほど真っ白できれいなものです。お宅のわんちゃん・ねこちゃんの上唇の横をめくり上げて上の歯を奥まで見てください(特に上の奥歯は歯石がたまりやすい場所です)。
日頃なかなかそこまで目が行き届きませんが、これは大切な事です。
1.歯に黄色〜茶色のものが付いていませんか?
付いていればそれは歯石です。歯石は歯茎との境目や歯と歯のすきまから付き始め、段々歯の全体に広がって行きます。
2.歯との境目の歯茎が赤くなっていませんか?
赤くなっていればそれは歯周炎が起きているサインです(歯石や歯石の元であるプラークが引き金です)。
一度付着してしまった歯石は動物病院で専門の超音波スケラーという機械を使って除去しなくてはいけません。この様にして一度歯をきれいにしてからは再び歯石がたまらないように歯磨きをしてあげましょう。
本来は仔犬・仔猫として飼い始めた2〜3ヶ月の頃から口の中に大人しく指を入れさせる練習や歯茎を優しくマッサージする練習から始め、最終的には歯ブラシを使って歯を磨いても嫌がらないように練習して、毎日歯磨きが出来るようにしつけを行っていくことがベストです。本院ではパピークラス(生後2〜5ヶ月間の社会化のために一番大切な時期の仔犬のしつけ教室)のレッスンの一つとして歯磨きに慣れさせるレッスンを行っています。しかし大人になってからでも性格のおとなしく、飼い主さんとの絆ができている子であれば歯磨きに慣らす事は十分に可能です。
以下に慣らすポイントをお話し致します。(1才くらいまでの子であれば普通は歯石が付着してしまってる事はほとんど無いので歯石が付着していなければそのまま以下の事をスタートしてもらって構いませんが、成犬になって歯石が付着している場合は、前述しました様に動物病院で一度歯のクリーニングをしてもらってから始めて下さい。そのまま歯磨きを行うと、かえって歯茎の炎症を引き起こさせる結果となります。)
■歯磨きのポイント五箇条
1.嫌なイメージを与えないようにしましょう!
最初は絶対に力ずくで無理やり行ってはいけません。嫌なイメージを一度でも与えてしまうと次からもっと抵抗するようになってしまいます。「・・・ちゃん、いい子だね〜」とか「・・・ちゃん、歯磨き楽しいね〜」と優しく声をかけながら、最初はすこしずつ、嫌になる前に短時間でおわりましょう。
2.少しずつレベルアップしましょう!
歯ブラシを使って歯磨きをするのは最終目標です。まずは唇の横の隙間から指を入れ(無理に口を開けると嫌がるので軽く口を閉じたままやるのがポイントです)頬と奥歯の間(飴玉をしゃぶる所)に入れた指で歯と歯茎の境目を優しくマッサージすることから始めましょう。それに慣れてきたら、歯磨き用ガーゼを指に巻き、少量の水をつけ、同様に行います。それにも慣れたら軟らかめの歯ブラシ(小型犬はヘッドの小さな市販されている小児用歯ブラシでOKです)に替えて行きます。(咬む危険のある場合は無理に行わないで下さい。咬まれてしまっては大変です)
3.犬が喜ぶよう、歯磨きが好きになるよう、おいしい味の歯磨きペーストを使いましょう!
動物病院では何種類かの動物用歯磨きペーストをご用意していると思います。好きそうな味を選んであげて下さい。泡も立たずそのまま飲み込んでも大丈夫です。第一段階の指でのマッサージの時から使用してあげて下さい。きっと歯磨きのイメージが良くなると思いますよ。
4.歯磨きが終わったら思い切りほめてあげましょう!
お利巧に出来たときは「いい子だね〜!」と思い切りほめてあげて下さい。ご褒美として好きな食べ物を少量あげたり、好きなおもちゃで遊んであげるなど、喜ぶ事をしてあげるのも良いでしょう。折角、歯を磨いた後なので与えるのなら歯石予防効果のあるおやつをあげるのがベストです。
5.歯の外側を磨きましょう!
主に歯の外側を磨きましょう。歯の内側は自然と歯とこすりあっているので外側に比べて歯石は付きにくい場所です。しかも歯の内側を磨くことは口を開けなくてはいけないのでとても大変です。しかし磨かせる子は磨いて行きましょう。丁寧に磨きたい場所は前歯の歯間とそれ以外では歯茎との境目です。重点的に!!
歯磨きは毎日継続して行わなくてはいけないと言う点なかなか手間のかかる事ですが、口臭のない美しい歯を見ればその努力は報われるというものです。頑張ってみて下さい。
もの言えぬ動物達の場合、飼い主さんが気付いてあげる事が重要なのです。動物達が私たちに安らぎを与えてくれるお返しとして、動物達が楽しく健康でいられるように気づかってあげる事が飼い主さんの勤めとも言えるでしょう。
そのためにも、この「動物病院だより」が少しでもお役に立てればと考えております。
他にもこんなことが知りたいということがあれば、お電話でも「ペット相談室」でもお気軽にご相談下さい。
Illust:LES5CINQ(Copyright 2002-2005 All rights reserved.)
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです
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