第48回
【知って得する動物の病気の豆知識 その44】
「子犬の気持ち」
犬を飼われている多くの方々は、子犬の時から飼いはじめ、最初のトイレのしつけや夜鳴き・甘噛み・・etc。色々と苦労や悩みがあったと思いますが、子犬側にも悩みや言い分があったのだと思います。
最近、犬のしつけで特に注目されている「陽性強化」でしつけていくにあたり、まずは、『犬はどのように考えているのか』を知る事が、とても大切なこととなります。
現在、子犬を飼い始めた方はもちろん、もう成犬になっていても、子犬の頃の犬の反応や、自分の対応を思い出しながら読んでみて下さい。
春の訪れと共に新しい命も誕生し、新しく家族の一員として可愛らしいわんちゃんを迎えられたご家族もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただただ愛くるしいわんちゃんが来て楽しいことばかり想像していたのに、いざ一緒に暮らすようになったら、所構わずおしっこをする、大切な物はかじられ壊されるし、一緒に遊んでいたら咬んでくる。
“ああ、もう嫌になっちゃう、どうしたらいいの〜?”と音をあげてしまいそうな方もいらっしゃるのではないでしょうか?
なぜ? ・・・では張本人のプードルのミルちゃんに聞いてみましょう。
だって僕、突然お母さんやお兄ちゃん達から離されて、ここのお家に連れてこられたんだよ。今まで毎日、お兄ちゃん達と遊んでたのに、今はひとりぼっちですご〜く寂しくてつまらないから、面白いものを見つけてガリガリって遊んでたんだ〜。
時々、新しいお母さんが遊んでくれるんだけどね、お母さんの手がひらひら動いて面白いから、ガブガブってしてみたら、お母さんがキャーキャー言って楽しそうだったよ。僕も嬉しかったな。また遊ぶんだ!!
おしっこ? おしっこはお部屋の中のどこでもしちゃうんだ〜。いいでしょ! ひっろいんだよ〜。」
ミルちゃんの目の前でよく動くお母さんの手は、まるでひらひら動くおもちゃのよう。「ミルちゃんやめて〜!!」と騒ぐ声は「ミルちゃん楽しいね〜!」と聞こえるらしい。子供達が「嫌ダヨー」と走って逃げたら“わ〜い、わ〜い”と追いかけっこが始まったと思うから、頑張って追いかけちゃう。
ミルちゃんはな〜んにも悪くはないのです。
ここで最も大切なことは、ミルちゃんのお父さんとお母さんになった飼い主さんが“新しい家でルールを守って一緒に仲良く暮らすにはこうしていくんだよ”ということを、しっかりミルちゃんに教えてあげることなのです。
ひとりで退屈だった時、お風呂場の前にあるマットの端からひもが出ていたから、ちょっと引っ張ってみたの。
そしたらどんどん伸びてきてこれは何だ〜ってすごくわくわくしていたら、お母さんがきて「ミルちゃんこれはダメだよ!」って持って行っちゃったんだ。せっかく僕が楽しく遊んでいたのに、意地悪って思っていたら、お母さんがもっといい物を持ってきてくれたんだ。骨の形をしたとっても美味しい味がする棒だよ。
いい匂いがするからなめてみたの。すっごく美味しかったよ〜。ずっと咬んでいたらお母さんが「ミルちゃんいい子だね!」ってほめてくれたんだよ。
僕さ、この棒は美味しいから好きだし、それにこれを咬んでいるといつもお母さんがいっぱいほめてくれるから嬉しいんだ〜。
それからね、この前ゴミ箱からいい匂いがしたから僕、中の物だして見てたの。色んな物が出てくるからまたわくわく・うきうきってしてたの。
でも、またお母さんが来て黙って持って行っちゃったんだ。「あ〜お母さん持っていかないで!」って言ったけど聞いてくれなかった。でもね、またその後であの棒をくれたんだよ。
僕はもうさっきのゴミ箱のことなんて忘れちゃってね、ずっと棒をかじってたんだ。そしたらまたお母さん「ミルちゃんいい子だね〜」って嬉しそうに言うんだよ。お母さんはいつも棒をかじって静かにしていると嬉しそうにほめてくれるんだ〜。
お母さんは僕が水色の紙の上でおしっこをするとすごくほめてくれるし、お散歩の時玄関の前でおすわりして待っていると「ミルちゃん、偉いね〜」って言っておやつをくれるんだよ。お母さんの手をカプカプっとしてると、どこかへ行っちゃうけど、お利口にして待っていると僕のとこに来て嬉しそうにほめてくれるんだ。
僕ねお母さんのこと大好きなんだ〜!」
お母さんと遊んでいる時、お母さんの手をカプカプしているとお母さんはどこかに行っちゃう。だけど静かにしていると嬉しそうに、戻ってきておやつをくれる。だから、「咬まないでいる方がいいかも〜」って感じ始めているようです。
あんなにいい匂いがして中身を見るのが楽しみだったゴミ箱あさりも、今はお母さんがふたのついたゴミ箱にかえちゃったので、匂いもしないし、楽しくなくなってしまいました。
僕、どうしたらお母さんにほめてもらえるのかな〜って最近よく考えるようになってきたんだ。
だって僕、お母さんのこと大好きなんだもん。お母さんの近くにいると、いいことがいっぱいあるんだよ。
僕ね、前は叱られてばっかりいたから、ちっとも楽しくなかった。もとのお母さんやお兄ちゃんのいるお家に帰りたかったんだ。でもね、今は違うよ。僕はここんちの子にあって本当によかったと思っている。
だって、とってもしあわせなんだも〜ん。お母さんが言ってくれたの。「ミルちゃんは私達の大事な家族なんだよ。お母さんのお家にきてくれてありがとう。ず〜っと一緒にいようね。」って! すごいでしょ! 僕は今とってもしあわせ! お母さん僕からもホントにホントにありがとう!」
そんなこと誰にでもわかりそうなことなのに、「なんでミルちゃんは何回言ってもわからないの?」「何でそんなことばっかりするの?」とお母さんは大真面目な顔をして言い、そして怒るのです。
今回のお話の中には「子犬は何を考えているのか」という事とともに、現在しつけの分野で注目されている「陽性強化の仕方」の色々な具体的方法のヒントがちりばめらています。
どうしたらワンちゃんが自らすすんで良い子になろうという気持ちになるのか(気持ちにさせるか)を考えつつ、現在のワンちゃんとご自分の関係を見直してみるのもよいのかもしれません。
そのためにも、この「動物病院だより」が少しでもお役に立てればと考えております。
他にもこんなことが知りたいということがあれば、お電話でも「ペット相談室」でもお気軽にご相談下さい。
最近、犬のしつけで特に注目されている「陽性強化」でしつけていくにあたり、まずは、『犬はどのように考えているのか』を知る事が、とても大切なこととなります。
そこで今月は、子犬が新しい飼い主さんに迎えられた時に、子犬自身がどのようなことを考えているのかを、皆様に陽性強化のポイントをまじえながら、わかりやすくお話ししたいと思います。
現在、子犬を飼い始めた方はもちろん、もう成犬になっていても、子犬の頃の犬の反応や、自分の対応を思い出しながら読んでみて下さい。
今回は、本院のしつけ部門を担当している私の妻である「葉子」の原稿をそのまま掲載させて頂きます。したがって、いつもの私の文章と全くタッチが違っていることと思いますが・・・。
■わんちゃんと共にしあわせに暮らすために ———僕はこんなことを考えているんダヨ!
澄みきった青い空の下、たくさんの花々が美しく咲き誇り、周りの景色はもうすっかり春ですね。
春の訪れと共に新しい命も誕生し、新しく家族の一員として可愛らしいわんちゃんを迎えられたご家族もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただただ愛くるしいわんちゃんが来て楽しいことばかり想像していたのに、いざ一緒に暮らすようになったら、所構わずおしっこをする、大切な物はかじられ壊されるし、一緒に遊んでいたら咬んでくる。
“ああ、もう嫌になっちゃう、どうしたらいいの〜?”と音をあげてしまいそうな方もいらっしゃるのではないでしょうか?
でも、そのようなことが起こるのは当然なのです。
なぜ? ・・・では張本人のプードルのミルちゃんに聞いてみましょう。
「え? なぜそんな事ばっかりするのかって?
だって僕、突然お母さんやお兄ちゃん達から離されて、ここのお家に連れてこられたんだよ。今まで毎日、お兄ちゃん達と遊んでたのに、今はひとりぼっちですご〜く寂しくてつまらないから、面白いものを見つけてガリガリって遊んでたんだ〜。
時々、新しいお母さんが遊んでくれるんだけどね、お母さんの手がひらひら動いて面白いから、ガブガブってしてみたら、お母さんがキャーキャー言って楽しそうだったよ。僕も嬉しかったな。また遊ぶんだ!!
おしっこ? おしっこはお部屋の中のどこでもしちゃうんだ〜。いいでしょ! ひっろいんだよ〜。」
ミルちゃんは、どうやら広いお部屋のどこにでもおしっこをしていいと思っているようです。「だから僕んちは広くていいんダヨ〜!」って思っているみたい。
ミルちゃんの目の前でよく動くお母さんの手は、まるでひらひら動くおもちゃのよう。「ミルちゃんやめて〜!!」と騒ぐ声は「ミルちゃん楽しいね〜!」と聞こえるらしい。子供達が「嫌ダヨー」と走って逃げたら“わ〜い、わ〜い”と追いかけっこが始まったと思うから、頑張って追いかけちゃう。
そうなのです。ミルちゃんはただ我が家になったこの家で何をしていいのか、また何をしてはいけないのかが全く分かっていなかっただけなのです。
ミルちゃんはな〜んにも悪くはないのです。
ここで最も大切なことは、ミルちゃんのお父さんとお母さんになった飼い主さんが“新しい家でルールを守って一緒に仲良く暮らすにはこうしていくんだよ”ということを、しっかりミルちゃんに教えてあげることなのです。
それでは、どのようにして教えていくと、ミルちゃんは分かってくれるのかな?
「僕ね、この前こんな事があったんだよ。
ひとりで退屈だった時、お風呂場の前にあるマットの端からひもが出ていたから、ちょっと引っ張ってみたの。
そしたらどんどん伸びてきてこれは何だ〜ってすごくわくわくしていたら、お母さんがきて「ミルちゃんこれはダメだよ!」って持って行っちゃったんだ。せっかく僕が楽しく遊んでいたのに、意地悪って思っていたら、お母さんがもっといい物を持ってきてくれたんだ。骨の形をしたとっても美味しい味がする棒だよ。
いい匂いがするからなめてみたの。すっごく美味しかったよ〜。ずっと咬んでいたらお母さんが「ミルちゃんいい子だね!」ってほめてくれたんだよ。
僕さ、この棒は美味しいから好きだし、それにこれを咬んでいるといつもお母さんがいっぱいほめてくれるから嬉しいんだ〜。
それからね、この前ゴミ箱からいい匂いがしたから僕、中の物だして見てたの。色んな物が出てくるからまたわくわく・うきうきってしてたの。
でも、またお母さんが来て黙って持って行っちゃったんだ。「あ〜お母さん持っていかないで!」って言ったけど聞いてくれなかった。でもね、またその後であの棒をくれたんだよ。
僕はもうさっきのゴミ箱のことなんて忘れちゃってね、ずっと棒をかじってたんだ。そしたらまたお母さん「ミルちゃんいい子だね〜」って嬉しそうに言うんだよ。お母さんはいつも棒をかじって静かにしていると嬉しそうにほめてくれるんだ〜。
お母さんは僕が水色の紙の上でおしっこをするとすごくほめてくれるし、お散歩の時玄関の前でおすわりして待っていると「ミルちゃん、偉いね〜」って言っておやつをくれるんだよ。お母さんの手をカプカプっとしてると、どこかへ行っちゃうけど、お利口にして待っていると僕のとこに来て嬉しそうにほめてくれるんだ。
僕ねお母さんのこと大好きなんだ〜!」
ミルちゃんは、おしっこをペットシーツの上でした時だけお母さんがいっぱいほめてごほうびをくれるから、「おしっこは水色の紙の上でしたらいいかも〜」って思い始めているようです。
お母さんと遊んでいる時、お母さんの手をカプカプしているとお母さんはどこかに行っちゃう。だけど静かにしていると嬉しそうに、戻ってきておやつをくれる。だから、「咬まないでいる方がいいかも〜」って感じ始めているようです。
あんなにいい匂いがして中身を見るのが楽しみだったゴミ箱あさりも、今はお母さんがふたのついたゴミ箱にかえちゃったので、匂いもしないし、楽しくなくなってしまいました。
「でもね、僕は最近お母さんにいっぱいほめてもらえるようになってきたから、毎日とっても楽しいんだよ。
僕、どうしたらお母さんにほめてもらえるのかな〜って最近よく考えるようになってきたんだ。
だって僕、お母さんのこと大好きなんだもん。お母さんの近くにいると、いいことがいっぱいあるんだよ。
僕ね、前は叱られてばっかりいたから、ちっとも楽しくなかった。もとのお母さんやお兄ちゃんのいるお家に帰りたかったんだ。でもね、今は違うよ。僕はここんちの子にあって本当によかったと思っている。
だって、とってもしあわせなんだも〜ん。お母さんが言ってくれたの。「ミルちゃんは私達の大事な家族なんだよ。お母さんのお家にきてくれてありがとう。ず〜っと一緒にいようね。」って! すごいでしょ! 僕は今とってもしあわせ! お母さん僕からもホントにホントにありがとう!」
犬のミルちゃんは、人間の言葉がわかりません。
そんなこと誰にでもわかりそうなことなのに、「なんでミルちゃんは何回言ってもわからないの?」「何でそんなことばっかりするの?」とお母さんは大真面目な顔をして言い、そして怒るのです。
それでは、お母さんは“う〜わんわん!!”とミルちゃんが吠えたら、何を言っているのか分かるのでしょうか? ・・・同じことですよね。
今回は、新しく家にきたミルちゃんとお母さんのお話でした。
今回のお話の中には「子犬は何を考えているのか」という事とともに、現在しつけの分野で注目されている「陽性強化の仕方」の色々な具体的方法のヒントがちりばめらています。
どうしたらワンちゃんが自らすすんで良い子になろうという気持ちになるのか(気持ちにさせるか)を考えつつ、現在のワンちゃんとご自分の関係を見直してみるのもよいのかもしれません。
もの言えぬ動物達の場合、飼い主さんが気付いてあげる事が重要なのです。動物達が私たちに安らぎを与えてくれるお返しとして、動物達が楽しく健康でいられるように気づかってあげる事が飼い主さんの勤めとも言えるでしょう。
そのためにも、この「動物病院だより」が少しでもお役に立てればと考えております。
他にもこんなことが知りたいということがあれば、お電話でも「ペット相談室」でもお気軽にご相談下さい。
Illust:LES5CINQ(Copyright 2002-2005 All rights reserved.)
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです
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