第41回
【知って得する動物の病気の豆知識 その37】
「アトピー性皮膚炎」
今月はアトピー性皮膚炎についてお話し致します。
皮膚病の種類(原因)は、様々ありますが、近年目立って増加してきた皮膚病の代表が、アトピー性皮膚炎と言えると思います。
アトピー性皮膚炎は犬に多く発生しますが、猫にもまれに発生することがあります。
アトピーの体質を持った動物は色々なアレルゲン(アレルギー反応を起こす可能性のある物質)に過敏に反応しやすく、その結果皮膚炎を起こします。代表的なアレルゲンは様々な花粉・ハウスダスト(ダニの死骸等)・カビ・羽毛・動物のフケ・動物性タンパク・・・etc。この様々なアレルゲンは呼吸とともに、あるいは皮膚の表面から体内に入ります。
このように自然界には様々なアレルゲンが存在し、その動物がどのアレルゲン(複数のアレルゲンの場合も多々あります)に反応しているか、正確に調べることは困難です。近年、血液でアレルギー検査(反応するアレルゲンを調べる検査)を特定の検査センターで行ってもらえるようになりました。
確定診断は、発症年令・発症部位(後述)、類似している他の皮膚病の検査による除外、治療に対する反応等、先程の検査センターの結果以外にも様々なポイントを総合的に判断することです。
検査センターの結果は、むしろ上記のように総合的にアトピー性皮膚炎と診断された後、どのアレルゲンに反応している可能性が高いのか、あるいはそのアレルゲンをアトピー性皮膚炎の動物の環境から排除できるアレルゲンなのか否かを推定する(あくまでも推定です。確定ではありません)ために利用されるべきです。
柴犬、シェットランドシープドック、ウェストハイランドホワイトテリア及び、その他のテリア系、ゴールデンレトリバー、シーズー、キャバリア等、特に柴犬&ウェストハイランドホワイトテリアの場合、難治性であることがしばしばあります。
もちろん、雑種犬を含め全ての犬種で起こり得ます。
初発年令は1〜3才の若い年令から発症することが多いと思います。
眼の周囲、耳の内側、口の周囲、わきの下、腹部及び内股、肘部(特に肘の前面)、下腿部(後ろ足の膝より先)肉球の間等が好発部位で、皮膚は赤くなり激しいかゆみを伴います。時間が経過すると色素沈着が起こり、皮膚は黒っぽくなります。
また、減感作療法といってアトピー性皮膚炎を起こしている原因のアレルゲンを特定し、そのアレルゲンを一定の間隔で、極微量注射し、次第に増量していく治療法があります。この治療を行なうことにより、簡単に言うと体質改善され、アトピー性皮膚炎が治ることがあります。
ただし、残念なことにこの減感作療法は大学病院や、一部の開業医の所でなくては行えない治療で、定期的な間隔での特殊な注射が必要となります。また、この減感作療法の成功率は約70%程度、そのうち他の治療が必要でなくなるケースは約30%と言われています。
私がインターンだった20年程前には、ごくわずかしかなかったこの病気が、近年非常に増加しております(ヒトのアトピー性皮膚炎や花粉症等、他のアレルギーの病気も全く同じことが言えると思います)。
これは日本の家屋の密閉化(アルミサッシ等)や大気感染等、環境の変化によるところが多いと言われています。確かに昔の木造日本家屋のようにすきま風が入ってしまう家だった頃は、家の中にダニがわくこともあまりなかったように思います。
また、一生治療が必要なケースもままあり、やっかいな病気と言えます。アトピー性皮膚炎になった場合、かかりつけの先生とよく相談し、力を合わせうまく病気とつきあっていくことが大切だと思います。
そのためにも、この「動物病院だより」が少しでもお役に立てればと考えております。
他にもこんなことが知りたいということがあれば、お電話でも「ペット相談室」でもお気軽にご相談下さい。
皮膚病の種類(原因)は、様々ありますが、近年目立って増加してきた皮膚病の代表が、アトピー性皮膚炎と言えると思います。
アトピー性皮膚炎は犬に多く発生しますが、猫にもまれに発生することがあります。
■アトピー性皮膚炎とは
アレルギー性皮膚炎と呼ばれる皮膚病の1つで、遺伝的にアレルギー体質を持っている動物に起こるものを言います。
アトピーの体質を持った動物は色々なアレルゲン(アレルギー反応を起こす可能性のある物質)に過敏に反応しやすく、その結果皮膚炎を起こします。代表的なアレルゲンは様々な花粉・ハウスダスト(ダニの死骸等)・カビ・羽毛・動物のフケ・動物性タンパク・・・etc。この様々なアレルゲンは呼吸とともに、あるいは皮膚の表面から体内に入ります。
このように自然界には様々なアレルゲンが存在し、その動物がどのアレルゲン(複数のアレルゲンの場合も多々あります)に反応しているか、正確に調べることは困難です。近年、血液でアレルギー検査(反応するアレルゲンを調べる検査)を特定の検査センターで行ってもらえるようになりました。
しかし、皮膚科を専門に研究している大学の先生などによると、その結果はある程度参考にはなるものの、信頼性がずばぬけて優れているとは言えず、検査センターの結果だけからは確定診断を下すことはできないと言われています。
確定診断は、発症年令・発症部位(後述)、類似している他の皮膚病の検査による除外、治療に対する反応等、先程の検査センターの結果以外にも様々なポイントを総合的に判断することです。
検査センターの結果は、むしろ上記のように総合的にアトピー性皮膚炎と診断された後、どのアレルゲンに反応している可能性が高いのか、あるいはそのアレルゲンをアトピー性皮膚炎の動物の環境から排除できるアレルゲンなのか否かを推定する(あくまでも推定です。確定ではありません)ために利用されるべきです。
以上、少々難しくなってきてしまったかもしれませんが、アトピー性皮膚炎の概要をお話し致します。
■アトピー性皮膚炎の症状
●アトピー好発犬種
柴犬、シェットランドシープドック、ウェストハイランドホワイトテリア及び、その他のテリア系、ゴールデンレトリバー、シーズー、キャバリア等、特に柴犬&ウェストハイランドホワイトテリアの場合、難治性であることがしばしばあります。
もちろん、雑種犬を含め全ての犬種で起こり得ます。
●発症年令
初発年令は1〜3才の若い年令から発症することが多いと思います。
●発症部位
眼の周囲、耳の内側、口の周囲、わきの下、腹部及び内股、肘部(特に肘の前面)、下腿部(後ろ足の膝より先)肉球の間等が好発部位で、皮膚は赤くなり激しいかゆみを伴います。時間が経過すると色素沈着が起こり、皮膚は黒っぽくなります。
■アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の多くは完治させることが難しく、お薬でかゆみを減らすようにコントロールしてあげたり、専門のアトピー用シャンプーで皮膚のバリアーを強くしてあげたり、アトピーで弱った皮膚から二次感染した細菌や真菌(カビ)を抑制してあげるといった対症療法が主となります。
また、減感作療法といってアトピー性皮膚炎を起こしている原因のアレルゲンを特定し、そのアレルゲンを一定の間隔で、極微量注射し、次第に増量していく治療法があります。この治療を行なうことにより、簡単に言うと体質改善され、アトピー性皮膚炎が治ることがあります。
ただし、残念なことにこの減感作療法は大学病院や、一部の開業医の所でなくては行えない治療で、定期的な間隔での特殊な注射が必要となります。また、この減感作療法の成功率は約70%程度、そのうち他の治療が必要でなくなるケースは約30%と言われています。
今月はアトピー性皮膚炎についてお話し致しました。
私がインターンだった20年程前には、ごくわずかしかなかったこの病気が、近年非常に増加しております(ヒトのアトピー性皮膚炎や花粉症等、他のアレルギーの病気も全く同じことが言えると思います)。
これは日本の家屋の密閉化(アルミサッシ等)や大気感染等、環境の変化によるところが多いと言われています。確かに昔の木造日本家屋のようにすきま風が入ってしまう家だった頃は、家の中にダニがわくこともあまりなかったように思います。
アトピー性皮膚炎は治すというより、いかにかゆみをコントロールしてあげるかという点に治療の主眼が置かれることが多い病気です。
また、一生治療が必要なケースもままあり、やっかいな病気と言えます。アトピー性皮膚炎になった場合、かかりつけの先生とよく相談し、力を合わせうまく病気とつきあっていくことが大切だと思います。
もの言えぬ動物達の場合、飼い主さんが気付いてあげる事が重要なのです。動物達が私たちに安らぎを与えてくれるお返しとして、動物達が楽しく健康でいられるように気づかってあげる事が飼い主さんの勤めとも言えるでしょう。
そのためにも、この「動物病院だより」が少しでもお役に立てればと考えております。
他にもこんなことが知りたいということがあれば、お電話でも「ペット相談室」でもお気軽にご相談下さい。
Illust:LES5CINQ(Copyright 2002-2005 All rights reserved.)
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです
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