第33回
【知って得する動物の病気の豆知識 その29】
「犬・猫の発情」
今月は犬及び猫の発情についてお話し致します。
雌犬と雌猫の発情の来かたには、多少違いがありますが、いずれにせよ避妊手術をしていない場合は1年に何回か訪れる生理現象です。

 

発情とは性成熟に達した雌が交配可能になる事を言い、卵巣から卵胞ホルモンというホルモン(俗に発情ホルモンとも言います)が分泌されると発情が起こります。以下に犬の発情と猫の発情の違いを表にしてみました。

 


 

この表に示した内容は平均的なもので、こと発情に関しては個体差がかなりあり、発情の症状等も、ここに示した以外の症状を示すこともありますし、逆にほとんど症状を出さないケースもあります。特に猫の発情の回数については、犬と比べて「なぜ、こんなに何回も発情するのか?」と思うくらいに何度も発情を繰り返して驚いてしまったという経験をお持ちの方も少なくないと思います。
これには理由があります。それは猫の卵巣の機能が犬と少し違うからなのです。
少々難しくなってしまうかもしれませんが、犬の場合は発情期になると卵胞ホルモンの分泌が活発になり、それにより卵巣の中にある卵胞が段々発育し、成熟すると交配の有無に関わらず、自然に排卵(自然排卵)します(ここまでが発情期)。排卵が終わり、発情期が終わると卵胞ホルモンが減少し、それにかわって黄体ホルモンというホルモンの分泌が盛んになり、排卵した卵巣の卵胞は黄体というものに変わっていきます。この黄体がある期間は黄体期(妊娠の有無に関わらずおよそ2ヶ月間)と呼ばれ、その後の数カ月にわたる卵巣に卵胞も黄体も存在しない休止期と呼ばれる期間合わせ、およそ半年間は発情が来なくなるのです。

 

これに対し猫の場合は、卵胞が発育しても犬のように自然に排卵をすることはなく、交尾をした時のみ排卵するのです(交尾排卵)。したがって交尾をしなかった猫は排卵せず、よって黄体ができても弱いので、再びすぐに次の卵胞が発育し、発情を繰り返すことがしばしばあるのです。
ある研究によると、下の図のように寒い冬と初春、それから晩夏に発情する猫が増えているのがわかります。【矢印】
猫の場合、更に驚くべきことは分娩してまだ哺乳中の母親であっても再び発情がきて、妊娠してしまうこともしばしば起こります。
まだ仔猫にお乳をやっているうちに、またお腹が大きくなってしまうのです。これは飼い主さんにとっても猫にとっても大変なことだと思います。

 

 

今月は犬と猫の発情や繁殖についてお話し致しました。
早ければ生後半年程度で妊娠可能な状態の体になります。子供を生ませる予定のない場合は早めに避妊手術を受けることを考えて下さい。

 

—不幸な仔犬・仔猫を増やさないように!—

 

もの言えぬ動物達の場合、飼い主さんが気付いてあげる事が重要なのです。動物達が私たちに安らぎを与えてくれるお返しとして、動物達が楽しく健康でいられるように気づかってあげる事が飼い主さんの勤めとも言えるでしょう。
そのためにも、この「動物病院だより」が少しでもお役に立てればと考えております。
他にもこんなことが知りたいということがあれば、お電話でも「ペット相談室」でもお気軽にご相談下さい。
Illust:LES5CINQ(Copyright 2002-2005 All rights reserved.)
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです

 

 

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