第27回
【知って得する動物の病気の豆知識 その23】
「椎間板ヘルニア」
今月は椎間板ヘルニアについてお話致します。
この病気に一度なると再発したり、あるいは慢性(いわゆる持病)になってしまうこともあり、やっかいな病気であるという点も人の場合と全く同じです。更に重症の場合は、足が麻痺してしまい最悪の場合、一生動物用車いすが必要になってしまうこともあります。
その背骨と背骨の間にあるのが椎間板であり「背骨が自由に曲がるための役割」と「クッション役」を果たしています。
椎間板を身のまわりの物に例えると、しいて言えば外のビニールの厚いアイスノンのような物と考えて下さい。ゼラチン状(流動状)の髄核という物質が中心にありまわりを数層の硬いドーナツ状の繊維組織である繊維輪という組織がかこんでいる構造となっています。
最悪の場合では歩けなくなってしまったり、自力で排尿ができなくなってしまうことさえある病気です。
また、更に軟骨発育不全型と呼ばれる犬種(ダックスフント、ぺキニーズ、フレンチブルドック、バゼットハウンド等)は、髄核の変性が若いうちに起こることがあり、結果的に椎間板ヘルニアを起こしやすい犬種ということになります。
最初にお話したように、4本足である動物の場合、内臓の重みだけでなく、お腹の中の脂肪の重みにも背骨や椎間板に全てかかってしまうので、肥満の犬は椎間板ヘルニアを起こしやすくなってしまうのです。
まず、芸でよく見るチンチンのような、背骨が地面に対して垂直になる姿勢の反復はよくありません。以前に、はずむゴムのボール(スーパーボール)で毎日遊んでいるトイプードルが椎間板ヘルニアになってしまったことがあります。毎日はずむボールをチンチンしながら追っかけて遊んでいたことが徐々に背骨や椎間板に負担をかけていたのです。ソファーやベットに飛び乗ったり階段を勢いよくかけ上がっていくような行動もよくありません。
これらの共通する点は、何かに飛び乗ったり階段などを勢いよくかけ上がる瞬間に、一度背中を丸めて力をためてから急に背中をのばし、飛び上がるという点です。この行動も背骨や椎間板に負担をかけるので注意しましょう。もし、ソファー等に飛び乗ってしまう場合は、ソファーの手前に、踏み台となる中間の高さの物を置いてクッションを作ってあげましょう。そうすれば、背中を丸め飛び上がらなくても軽くかけ上がるような形になるはずです。
これは一案に過ぎないので、みなさんでそれぞれ工夫してみて下さい。
症状の現れ方は様々ですが、一般的には突然どこか(主に背中)を痛がったり、背中をこわばらせてぎこちなく歩いたりすることがあります。
この状態を放っておいたり、あるいは運悪く脊髄神経への圧迫の程度が始めから激しい場合には何の前兆もなく突然足が麻痺してしまうこともあります。
椎間板ヘルニアにならないように、肥満に気をつけたり、日頃の生活の中で背中に負担がかかるようなしぐさや行動等がないか一度観察し直してみたらいかがでしょうか。
そのためにも、この「動物病院だより」が少しでもお役に立てればと考えております。
他にもこんなことが知りたいということがあれば、お電話でも「ペット相談室」でもお気軽にご相談下さい。
人でも時々耳にするこの病気は、動物にも同じように存在する病気で、犬に比較的多く見られます。
この病気に一度なると再発したり、あるいは慢性(いわゆる持病)になってしまうこともあり、やっかいな病気であるという点も人の場合と全く同じです。更に重症の場合は、足が麻痺してしまい最悪の場合、一生動物用車いすが必要になってしまうこともあります。
■椎間板の働き
人も動物も背骨で体重を支えています。特に4本足の動物は背骨で体重(内臓や、お腹の中の脂肪の重さまで)を支えていることになる訳です。
その背骨と背骨の間にあるのが椎間板であり「背骨が自由に曲がるための役割」と「クッション役」を果たしています。
椎間板を身のまわりの物に例えると、しいて言えば外のビニールの厚いアイスノンのような物と考えて下さい。ゼラチン状(流動状)の髄核という物質が中心にありまわりを数層の硬いドーナツ状の繊維組織である繊維輪という組織がかこんでいる構造となっています。
■椎間板ヘルニアとは
椎間板ヘルニアとは背骨と背骨の間にある椎間板が、体重の重みや背骨の激しい屈曲等により圧迫され、図1のように脊髄神経に向かって上方に飛び出してしまい、それが脊髄神経(足や尾を動かしたり、尿を出すため膀胱を収縮させる神経の束)を圧迫することにより、痛みを訴えたり、あるいは神経への圧迫が激しいと足が麻痺してしまいます。
最悪の場合では歩けなくなってしまったり、自力で排尿ができなくなってしまうことさえある病気です。
また、更に軟骨発育不全型と呼ばれる犬種(ダックスフント、ぺキニーズ、フレンチブルドック、バゼットハウンド等)は、髄核の変性が若いうちに起こることがあり、結果的に椎間板ヘルニアを起こしやすい犬種ということになります。
■椎間板ヘルニアの予防
椎間板ヘルニアを予防するにはまず第1に肥満を防止することです。
最初にお話したように、4本足である動物の場合、内臓の重みだけでなく、お腹の中の脂肪の重みにも背骨や椎間板に全てかかってしまうので、肥満の犬は椎間板ヘルニアを起こしやすくなってしまうのです。
第2には背骨や椎間板に過度の力がかかる運動はひかえることです。
まず、芸でよく見るチンチンのような、背骨が地面に対して垂直になる姿勢の反復はよくありません。以前に、はずむゴムのボール(スーパーボール)で毎日遊んでいるトイプードルが椎間板ヘルニアになってしまったことがあります。毎日はずむボールをチンチンしながら追っかけて遊んでいたことが徐々に背骨や椎間板に負担をかけていたのです。ソファーやベットに飛び乗ったり階段を勢いよくかけ上がっていくような行動もよくありません。
これらの共通する点は、何かに飛び乗ったり階段などを勢いよくかけ上がる瞬間に、一度背中を丸めて力をためてから急に背中をのばし、飛び上がるという点です。この行動も背骨や椎間板に負担をかけるので注意しましょう。もし、ソファー等に飛び乗ってしまう場合は、ソファーの手前に、踏み台となる中間の高さの物を置いてクッションを作ってあげましょう。そうすれば、背中を丸め飛び上がらなくても軽くかけ上がるような形になるはずです。
これは一案に過ぎないので、みなさんでそれぞれ工夫してみて下さい。
しかし、以上のように予防に努めていても運悪く病気になってしまう事もあるかもしれません。こんな時は早期発見が非常に重要になります。発見が早ければそれだけ治る可能性が高くなるからです。
症状の現れ方は様々ですが、一般的には突然どこか(主に背中)を痛がったり、背中をこわばらせてぎこちなく歩いたりすることがあります。
この状態を放っておいたり、あるいは運悪く脊髄神経への圧迫の程度が始めから激しい場合には何の前兆もなく突然足が麻痺してしまうこともあります。
今月は椎間板ヘルニアについてお話致しました。
椎間板ヘルニアにならないように、肥満に気をつけたり、日頃の生活の中で背中に負担がかかるようなしぐさや行動等がないか一度観察し直してみたらいかがでしょうか。
もの言えぬ動物達の場合、飼い主さんが気付いてあげる事が重要なのです。動物達が私たちに安らぎを与えてくれるお返しとして、動物達が楽しく健康でいられるように気づかってあげる事が飼い主さんの勤めとも言えるでしょう。
そのためにも、この「動物病院だより」が少しでもお役に立てればと考えております。
他にもこんなことが知りたいということがあれば、お電話でも「ペット相談室」でもお気軽にご相談下さい。
Illust:LES5CINQ(Copyright 2002-2005 All rights reserved.)
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです
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