第7回
【知って得する動物の病気の豆知識 その3】
「犬のカゼ・猫のカゼ」
 本格的な冬の到来です。寒い季節になると我々人間のあいだでは風邪が流行りますね。風邪の原因は主にウィルスですが、冬に発生が多い理由としては(1)寒さ(2)乾燥があげられます。乾燥するとウィルスが空気中を飛散しやすく、又はウィルスの侵入経路であるのどが乾燥し、ウィルスに対するバリアーが弱まると言われています。

 

風邪は正確には上部気道感染症候群と呼ばれます。要するに上部気道(のどや気管・気管支)にウィルスなどが感染し発熱や咳、クシャミ、鼻汁等色々な症状を出す病気の総称です。

 

風邪はそのウィルスの種類により症状や重症度も様々です。

 

 

<犬の風邪>
犬の風邪の原因ウイルスは【1】パラインフルエンザウィルス【2】アデノウィルス【3】ヘルペスウィルスなどがあげられます。【1】パラインフルエンザウィルス【2】アデノウィルスは激しい咳が特徴で、飼い主さんが夜眠れない程咳が続くケースもめずらしくありません。治療に数週間を必要とすることもあり、また肺炎を併発すると命に関わるケースもあるので、早期に治療を開始することが重要となります。
幸い現在、動物病院で使用されているほとんどの混合ワクチンには【1】パラインフルエンザウィルス【2】アデノウィルスに対するワクチンも含まれているので、生後50日齢を過ぎた犬にはこの混合ワクチンを定期的に接種しておけば、これらの病気から守ってあげることができます。もちろん成犬になっても1年に1回の接種が必要です。

 

 

<猫の風邪>
猫の風邪の原因ウィルスは【1】ヘルペスウィルス【2】カリシウィルス【3】クラミジア(これはウィルスではありません)などがあげられます。そのうち【1】ヘルペスウィルス【2】カリシウィルスは伝染力が強く、また肺炎等を併発し重症になることがあるので重要です。

 

【1】ヘルペスウィルスにかかると眼やに、鼻水、クシャミ、発熱、食欲低下等の症状を現わします。猫は特に匂いで食べる動物なので、この病気で鼻がつまり、さらに熱が出るとパタッと食事をしなくなってしまいます。また【2】カリシウィルスにかかった場合は前述の症状に加えて口内炎や舌炎が起こり、痛くて食事をとれなくなったり、ヨダレを垂らしたりします。いずれの病気も完治するのに数日から数週間の治療が必要となり、早期治療が早期回復のカギとなります。
幸いこの【1】ヘルペスウィルス【2】カリシウィルスに対するワクチンも含まれているので犬と同様、生後50日齢を過ぎた猫には猫の混合ワクチンを定期的に接種しておいてあげて下さい。もちろん猫の場合も1年に1回の追加接種が必要です。

 

 

犬のカゼも猫のカゼも単に「風邪」と言っても人間の風邪よりもずっと重症になり易く、やっかいな病気なのです。重要な事は「風邪かな?」と思ったら、自宅で看病して様子を見るのではなく、初期症状のうちに動物病院で専門の治療を開始することです。尚、現在では早期であれば非常に効果のある「インターフェロン療法」という新しい治療法もあります。
さらに重要な事は定期的な混合ワクチンの接種をしておけば病気にならないということです。またこれらの混合ワクチンは、今お話した病気よりずっと死亡率の高いジステンパー(犬)パルボウィルス感染症(犬)猫伝染性腸炎(猫)猫白血病(猫)等の予防ワクチンも含まれているのです。
Illust:LES5CINQ(Copyright 2002-2005 All rights reserved.)
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです

 

 

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