第6回
【知って得する動物の病気の豆知識 その2】
「うんち」と「おしっこ」のお話
毎日お目にかかっていてもあまり気にしていないかもしれないのが「うんち」と「おしっこ」。食欲や元気に異常があると目につくのですが、尿や便にも異常を知らせてくれる信号が隠されていることが多々あります。健康のバロメーターとして食欲や元気はもちろんですが「うんち」や「おしっこ」もお宅のワンちゃんやネコちゃんの健康状態を示してくれる重要なバロメーターなのです。今日はそんな「うんち」と「おしっこ」のお話を致しましょう。
- 「うんち」の異常 -
- 便秘
うんちが出ない。
特に猫ではがんこな便秘が起こることがあります。(巨大結腸症) - 下痢(軟便・水様便・粘液便・血便・タール状便等)
食べ過ぎたり、食べ慣れない物や油の多い物を与えると起こりやすい。
その他にも中毒や腫瘍、あるいはウィルス感染(犬ではジステンパーやパルボウィルス感染症、猫では猫伝染性腸炎)など多くの原因があり重大な病気も考えられます。
はげしい下痢や食欲などない場合は早めに動物病院にご相談下さい。 - 寄生虫
寄生虫が感染していると下痢を起こすことがありますが、下痢でなくても寄生虫が感染している事があります。便が正常でも1年に1〜2回は検便をしてあげて下さい。
- 「おしっこ」の異常 -
- 色の異常
●赤〜暗赤色の尿
血尿(赤血球がそのまま尿に出てくるもの)
膀胱炎や膀胱結石、時には膀胱癌などの膀胱からの出血以外に腎臓や尿道、あるいは泌尿器以外の前立腺や子宮など、生殖器からの出血も考えられます。
血色素尿(赤血球が壊れた状態で尿に出てくるもの)
玉ネギ中毒やフィラリア症など恐ろしい病気の事があります。時にお醤油色の尿をする事もあります。全身の血管の中で赤血球が壊れている事が考えられますので早期の治療が必要となります。
●オレンジ色の尿
ビリルビン尿
肝臓が悪くなるといつもより濃い色又はオレンジ色っぽい尿が出ることがあり、ビリルビン尿と言います。
●濁った尿
透明感のない混濁した尿は細菌の繁殖した尿のことがあります。腎臓又は膀胱に細菌の感染があると考えられます。 - 尿の仕方の異常
●頻尿
1回の尿の量は少ないのに尿の回数が増える状態を言います。膀胱炎の疑いがあります。
●多尿
尿の量が増えることを言います。糖尿病をはじめ腎臓病(慢性腎不全)等意外と恐ろしい病気の兆候のことがあります。又、一般的に多尿の動物は飲水量も増えるものです。老猫は慢性腎不全にかかりやすいです。
●乏尿
全く尿が出ない(正確には作られない)状態を言います。
腎臓病(急性腎不全)で見られ、腎臓が全く機能していません。すぐにも命にかかわる病気です。
●排尿困難
膀胱に貯まった尿が出にくい状態を言います。小さな膀胱結石が尿道につまった可能性があります。雄犬や雄猫で起こることが多く、完全につまってしまい、トイレでいくらいきんでも出ない状態は緊急疾患です。 - その他の尿の異常
●糖尿
犬でも猫でも糖尿病になる事があります。一般的に血糖値が180mg/dlを越えると尿にも糖が出てきます。糖尿病は初期では飲水量と尿量が増える以外に元気もあり、むしろ食欲も旺盛で尿検査や血液検査をしない限り発見しずらい病気です。早く発見できずに放っておくと様々な病気を併発し、命をおびやかす恐ろしい病気なのです。
●タンパク尿
腎臓が悪くなると尿にタンパクが漏れ出てくることがあります。早期の発見が大切です。
●いつもと違う臭いの尿
尿に細菌が繁殖すると尿の臭いが変わる事もあります。臭いも大切です。
以上の様に「うんち」と「おしっこ」は意外に重要な病気の発見に役立ちます。又、一見正常に見える「うんち」や「おしっこ」も検査してみると異常が見つかる事も少なくありません。1年に1〜2回「うんち」と「おしっこ」の検査をしてみると良いと思います。
今月は「うんち」と「おしっこ」の話を簡単にお話しするつもりでしたが少々むずかしくなってしまった部分もあったかと思います。 とにかく毎日の「うんち」と「おしっこ」をよく観察する事が重要です。
Illust:LES5CINQ(Copyright 2002-2005 All rights reserved.)
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです
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