第3回
「仔犬・仔猫の心理学」
前回はしつけのポイントについてのお話を致しました。
今回はしつけする以前に仔犬・仔猫を飼い始めた時に知っておくと得する仔犬・仔猫の心理学についてお話致します。

 

 

三つ子の魂 百まで
「三つ子の魂 百まで」という言葉があります。これは国語辞典には、「幼い時の性質は、老人になってもかわらないこと」と記載されています。
それだけ、幼少時代の環境や経験はその人の人格形成には重要なファクターとなっているようです。犬や猫でも仔犬や仔猫の時にひどい怒られ方をすると、一生神経質でビクビクした性格になってしまいます。
それでは犬や猫でいう「三つ子の魂…」の時期とはどのくらいのことを言うのでしょうか?
正解は、およそ生後3週齢〜9週齢の間と言われています。
又、精神的発達の観点からこの約6週間を2週間づつ3つに区切ることができます。

 

 

生後3週齢〜5週齢
3週齢くらいから好奇心が芽生え、徐々に好奇心旺盛になっていく時期。この期間は恐怖心というものを持たない時期と言われています。
生後5週齢〜7週齢
まだ好奇心旺盛の時期ですが、物事に対する恐怖心も徐々に発達してきます。しかしいぜんとして好奇心の方が恐怖心を上回っている時期です。
生後7週齢〜9週齢
好奇心が徐々に少なくなり、むしろ恐怖心が好奇心を上回る時期と言われています。ある意味では物事を(自分の損得を)自分なりに考えはじめる時期でもあるわけです。
 

 

性格の形成の時期
一般に仔犬・仔猫と人間との社会的結びつきは、好奇心が旺盛な5〜8週の頃形成されると言われています。この時期は何でも抵抗なく受け入れる時期なのです。従ってこの間は飼い主さんの暖かい愛情に包まれ且つ、他の家族以外の多くの人や、他の犬や猫達と遊ばせる等、色々な環境の変化を体験させることにより神経質にならないと言われています。たとえば9〜10週齢以降まで人間との接触が全くないと仔犬は人間を恐れ、社会化が困難になりやすいようです。又、特に恐怖心が好奇心を上回る7〜9週齢位の時は人でいうと”ものごころつく頃”で精神的にデリケートで傷つきやすい時期なのです。従ってこの間に激しいショックを受けると極端に臆病になってしまうこともあるので余り激しく叱り過ぎない様、注意が必要です。(前回しつけでお話したように、できた事をほめてしつけてあげてください。)

 

他の人に仔犬を譲るのに良い時期は、犬では6〜7週齢、猫では7〜8週齢位といわれています。(それ以外は母親の愛情としつけが必要な時期であり離乳の問題もあるので、母親と早期に離してはいけません。)

 

こういった性格の形成の時期(人でいうと幼稚園まで位)とそれ以降のしつけ(前号を参考にしてください)の時期(人でいうと小学校にあがって勉強を始める頃)とは別のものですが、良い性格を形成してあげればしつけも」しやすくなるわけです。
Illust:LES5CINQ(Copyright 2002-2005 All rights reserved.)
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです

 

 

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