(ネコ/メス/推定6〜8歳/名前・くー)
膀胱炎の診断を受けました。原因はドライフードのダラダラ食いと、二ヶ月前にトイレをかえたことがお気にめさず膀胱に尿を貯めてしまった事だろうということでした。
尿のアルカリ化を防止するのに塩分と脂肪を与えるように言われ、ベーコン・バター・ラードに少し塩を混ぜたもの等をすすめられました。
猫に塩分?余計に腎臓に負担をかけるのでは・・・と思いつつ質問できずに帰ってきてしまったのですが、なぜ塩分が必要なのか教えて下さい。(カナカナさんより)
カナカナさん、こんにちは。
カナカナさんの猫ちゃん、尿のアルカリ化を防止したいということから推察するに、膀胱炎の原因が結晶(おそらくストルバイト)によるものだと思われます。
主にストルバイトという結晶になよっておこる尿道閉鎖(ほとんどのケースで雄で発生します)や膀胱炎(雄・雌とも発生)等、泌尿器の病気を総称して「猫の泌尿器症候群」と呼び、「第19回動物病院だより[猫の泌尿器症候群(F.U.S)]」でも詳しくお話致しました。
ストルバルトの結晶は、
1.尿中のマグネシウム濃度の上昇、と
2.尿のアルカリ化
により結晶ができやすくなります。
この1.と2.を予防するために、一般的には獣医師の指導のもと、動物病院で販売されている処方食(食事療法を目的としたフード)を与えます。
処方食はいくつかの会社で製造されていますが、尿中のマグネシウム濃度を下げ、尿を酸性化させるようにできており、ストルバイトの結晶を予防してくれます。
なぜ、一般的に処方食が与えられているのでしょうか?
それは、ヒトがハンドメイドで処方食と同様な食事を作るのはほとんど不可能だからです。
猫は猫、犬は犬、人は人の栄養学があります。猫は猫の必要栄養があり、その必要栄養を全てバランス良く摂取できるように開発されたものがキャットフードであります。
泌尿器症候群(F.U.S)になった猫には、さらに結石ができないように研究を重ねてつくられたものが、泌尿器症候群用の処方食なのです。
確かに塩分を摂取すれば喉が乾き、水を飲む量が増え、尿をうすめる効果はあるかもしれませんが、カナカナさんのおっしゃる通り、余分な塩分は腎臓に負担をかけてしまいます。しかも、ベーコンやバターにはもともと塩分が入っているものなので、それに更に塩分を加えると、かなりの塩分摂取量になってしまうのではないでしょうか?
また、塩分や脂肪は尿のアルカリ化を防止する効果はありません。
今お話いたしましたように、ハンドメイドのフードや塩分の添加に関しては、マイナス面も沢山あるのです。
したがって、泌尿器症候群用の処方食を与えれば問題も解決されますし、マイナス面もありません。
私としては処方食による治療をお推め致します。(2003.07.04)