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分離不安症はどうしたら治療できますか?

(マルチーズ/オス/10ヶ月/名前・ぶぶまる)
今年の4月1日に2002年7月21日に生まれたぶぶまるが家に来たのですが、私は動物を飼うのが初めてです。続き
私なりにあまりかまう事はしていなかったと思うのですが、2日目にして私から離れなくなりました。トイレに行くのもついて来たり、お風呂に入っていてもそこら中に排尿、排便をします。
とにかく私の姿が見えなくなると家の中だと尿、便、ゲージの中だと吠えたりし、近所の事を考えると私自身もぶぶまるから離れられなくなってしまいまいました。
病院に連れて行ったところ分離不安症と言われ、クロミカルムをもらい飲ませました。
でも、私自身今仕事を新しく始めようとしていたので、2ヶ月も3ヶ月も待てる状態ではありません。
家はペット禁止なのですが、大家さんに言ってみたところうるさくなければと言われ、一応オッケーはもらいましたが、留守中の事を考えるとやはり外には出れず、考えた結果、訓練所に預けました。
でも周りからは、家に帰って来たらまた同じ事だと言われ、預けてから1ヶ月が経つので同じ事なら戻そうか、迷っています。
だけどまた繰り返しかと思うと、悩んでいます。
ぶぶまると離れる気は無いし、やはり私が根気強くやるしかないのでしょうか? 訓練期間は5ヶ月です。(山口さんより)


山口さんこんにちは。なかなか難しいご質問だと思います。

まず第1に、ぶぶまるちゃんの症状からすると、おそらく分離不安症に間違いないと思います。
山口さんも動物病院で指導してもらったように、一般的に分離不安症の治療は、

■クロミカルムというお薬を飲ませ、以下に示すような行動療法を実行します。
1.出かける30分程前からイヌに関心を払わない。もちろん出かける時にも「行ってくるからね」などとイヌにとってこれからひとりぼっちになることを強調することも良くありません。
2.帰ってきた時はイヌが落ちついて静かになるまでイヌを無視する。また帰ってきた時に問題行動があった場合もイヌを叱ってはいけません。
3.家でイヌと遊ぶ時は、あくまでも飼い主さんの指導で行う。(動物病院だよりでお話し致しました「しつけの基礎プログラム」も、飼い主さんの主導の遊びとしてはとても良いものです)
4.外出する以外にも、コートを着たり、カギをもったりして出かけるふりをする。(カギを持つ音→飼い主さんの外出→ひとりぼっちといったパターンをつくらない)
このお薬と行動療法の併用にて、70〜80%のケースで1〜2ケ月程で分離不安症が改善されます。

第2に「私なりにあまりかまうことはしていなかった……」とありますが、イヌは飼い主さん自身ですら気づかないようなほんのちょっとした振る舞いや、飼い主さんの行動を良く観察しており、飼い主さん自身は甘やかしている認識がないうちに、結果的に甘やかしている形になってしまっているケースもかなり多くありますので、山口さんも知らず知らずのうちに甘やかしている形になってしまっていたのかもしれません。
飼い主さん自身が、イヌの習性やしつけに関して勉強する必要があります。

第3に、訓練所に預けて分離不安症が治るかどうかですが、とても難しい問題だと思います。
分離不安症はそもそも飼い主さんとイヌとの関係(関わり方)の中から生まれてくる病気なので、訓練所から帰ってきて再び同じ対応をすれば分離不安症は治らないと思います。
訓練所では一般的に従う訓練をするところで、分離不安症の根本を治すための訓練というものは、私自身聞いた事はありません。
ただし、従う訓練のため預けている期間、ひとりでいることに慣れる可能性も考えられ、結果的に運良く分離不安症が改善されることも(少ない可能性ではありますが)ないとも言えないと思います。

ご質問をもう一度読み返しまして、私自身がおすすめするのはクロミカルムのお薬と行動療法を1〜2ケ月がんばってみたらと思います。
新しいお仕事の事とか、ぶぶまるに対する山口さんの行動や振るまいの中に何か分離不安症を起こすカギがないか否か、じっくりとかかりつけの先生に相談する事も大切だと思います。(2003.05.13)