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吐く仕草をするのは心臓病と関係ありますか?

(キャバリア・オス・8歳)
最近頻繁に吐く仕草をします(嘔吐ではありません)。続き
それ以外は元気なのですが、キャバリアなだけに心臓病と関係あるのでしょうか?(ちろちろさんより)


ちろちろさん、こんにちは。
ちろちろさんのワンちゃん(ギャバリア・オス・8才)が最近頻繁に吐く仕草をするとの事ですね。

一般に飼い主さんにとって「吐く」と感じられる行動は大きく2つに分けられます。
1つは「嘔吐」、もう一つは「喀出(かっしゅつ)」です。
以下に2つを説明致します。

1.嘔吐:「嘔吐」はいわゆる正式に「吐く」ことを示す言葉です。
「嘔吐」とは、一般的に動物がお腹を波うつように「ゲホッゲホッ」と何回か動かした後に胃液(透明な液体又は泡状物、時に十二指腸内の胆汁が胃内に逆流した場合は黄色)や胃内容物(食べた物)を口からもどす事を言います。吐いた物の中には胃液が濁っているのでPH(ペーハー)は酸性です。
一般の方はPHを測れないと思いますが、胃液を含む独特の「酸っぱい」臭いがするのですぐわかります。

2.喀出:もう一つは「喀出」と言われる行動です。
これは簡単に言うと咳などの後喉を刺激された結果「ケッ」っとつばを口から出したり「ゲ−」と吐く仕草だけで、飲み込んでしまったりする行動として観察されます。これは胃液は吐かず、喉や気管内のつばやたん等が口から出る訳ですからPHは中性に近く胃液の独特の「酸っぱさ」は感じられません。

以上の事からすると、ちろちろさんのギャバリアはおっしゃるように、嘔吐ではない可能性が強いと思います。
言いかえると「咳」をした結果吐く仕草を示す「喀出」の可能性が高いと思われます。咳の原因も様々ありますが心臓に問題が起こると、咳(心臓性の咳)をする事があります。

ギャバリアは各種小型犬(トイ種)とともに心臓病の1つである僧帽弁閉鎖不全症(第20回知って得する動物の病気の豆知識・その16「(心臓性の)咳:特に僧帽弁閉鎖不全症」を参考に)にかかり易い犬種とされています。最近注目されている点はギャバリアの心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)は他の小型犬(トイ種)よりも比較的若いうち(早くて3〜5才ぐらい)に発生し又、遺伝する可能性も海外では示唆されています。
もちろん全てのギャバリアで心臓病が発生する訳ではありませんし、日本国内で飼育されているギャバリアの僧帽弁閉鎖不全症の発生率は私の知る限り、まだ詳しくは統計的にわかっていないようです(海外では約50%の発生率という報告もあります)。
以上のような事実はあるものの、ギャバリア→咳→心臓病(僧帽弁閉鎖不全)と短絡的に飼い主さんが決めつけては危険です(咳の原因は他にも沢山ある訳ですから)
もし、咳だと思ったら、自己診断せずにかかりつけの先生に診察してもらってください。僧帽弁閉鎖不全による咳なら簡単な聴診で、心音に雑音が混ざることにより診断できます(病気の進行度等によりレントゲン検査や心電図検査、エコー検査等が必要な事もあります)。
近年では良いお薬も開発され、早期発見する事により症状を軽くしたり、発病を遅くしたりしてあげる事も十分にできるようになりました。(2003.04.09)