子宮蓄膿症についてお願いします。
ピコ(シーズー)の生理が今月初めに終わりました。今までは3週間で終わっていたのですが、今回は終わったかと思ったらおりもののようなものが出ました。それも止まり安心していたのですが、昨日見たら茶色いのが出ていました。
最近水を良く飲むのが気になっていたのと、昨夜粘液の混じった便をしたのも気になりかかりつけの病院に連れていきました。
血液検査をした結果、今は初期で蓄膿症までいってなくて内膜症と言われました。内膜症は薬で散らせるけどまた生理きて終わったら同じ症状が出る場合があるとの事。今日は薬をもらって水曜日にまた検査してみて酷くなってたら早いうちに手術した方がいいと言われました。白血球は調べてもらったら15000で微妙と言われました。
今の私の気持ちは初期のうちに手術をした方が良いのではと思っています。手術をしないでいいのならその方がいいのですが、内膜症なら大丈夫なのでしょうか?(ゆきさんより)
ゆきさんお久しぶりですね。このペット相談室の初めの頃ピコちゃんが連続で色々な病気に患ってしまい、何度かご相談頂きましたね。それらの問題は全て解決できたようで本当によかったですね。
今回は、ピコちゃんの不整な発情とおりものについてのご質問ですね。
子宮内膜症との診断を受けているようですね。子宮内膜症は、ヒトでは子宮の内膜の細胞が、本来存在する子宮の内側以外の子宮の外側や、卵巣・子宮を支える靭帯等において増殖してしまう病気を言います。現在の獣医界では、この「子宮内膜症」と「子宮内膜炎」が混同して使用されてしまっているケースが多く、まぎらわしい状況です。
私の印象では、「子宮内膜症」は犬では非常に少なく、おそらくピコちゃんの先生も「子宮内膜炎」のことを言っていると思いますので「子宮内膜炎」ということでお話を進めさせて頂きます。
まず第1の問題は、「子宮内膜炎」と「子宮蓄膿症」の違いですが、「子宮蓄膿症」は、第16回「動物病院だより」知って得する動物の病気の豆知識その12にてお話し致しましたように、子宮に細菌感染が起き、病名どおり子宮に膿(うみ)が蓄(たま)ってしまう病気です。
一方、「子宮内膜炎」は、子宮の内側の膜に炎症が起きる病気です。
炎症が起こる原因はやはり細菌感染が主なようです。それ以外に、早産・流産・難産などによって子宮内膜が傷ついたりする事により、発生することも多いようです。
しかし、実際には本当に「子宮内膜炎」かどうかを判断する事は、獣医師にとってそれ程簡単な事ではありません。一般的には検温や、視診・聴診・触診等の一般身体検査はもちろん、血液検査・レントゲン検査・エコー検査等、時にはおりものの細菌培養検査が診断のため行なわれますが、「子宮内膜炎」と初期の「子宮蓄膿症」と区別する事は難しいと思います。
第2の問題として、「子宮内膜炎」が徐々に「子宮蓄膿症」に移行していくケースがあったり、あるいは「子宮内膜炎」で抗生物質等のお薬による治療ですっかり良くなっても、次の発情が終わった後に「子宮蓄膿症」になってしまうケースが非常に多いのです。
その理由として、子宮の病気の多くは卵巣から出るホルモンにアンバランスが起きる事が最大のファクターになっているからです。
以上の事を考えると、(以下は私の個人的な考えですが)「子宮蓄膿症」になってしまってから手術をするということは、ピコちゃんの一般状態も悪くなってしまうことも考えられ、手術も少なからず大がかりになってしまうと思いますので、ゆきさんのおっしゃられるように早めに手術をしてあげた方が良いと思いますよ。 (2003.03.11)