別の病院を探そうと思う程深刻ではないものの、他の先生のご意見を聞いてみたかったことがあるのですが、一般的に獣医さんが尿検査以外の精密検査を奨めるのは、どういう状況のときでしょうか?
私が飼っているのは、ミニチュアダックス1歳2ヶ月、オス(去勢済み)ですが、主治医の先生が診断に使われるのは、これまで尿検査結果だけなのです(初めての時は便の検査もありましたが)。ウチの子の状態がそれ程深刻でなく、尿検査で判る程度の情報で十分と考えておられるからなのか?と思っているのですか、飼い主初心者として漠然と不安も感じるのです。
2ヶ月零でペットショップから購入した翌日から咳の症状があり、ケンネルコフと診断されました。抗生剤を投与しながら経過を見て、咳の症状が消えるまでに1ヶ月以上かかりました。
その後、初めて嘔吐をし、週末に病院に行ったところ、尿検査でビリルビン値が+3だったため、肝臓の状態が良くないとのことでタチオン50mg/日を処方されました。
その約1ヶ月後、一晩だけ泊りで旅行に連れて行ったのが負担だったのか、旅行の5日後の検査で赤血球値+3・ビリルビン値+1・白血球値+3となり、抗生剤(とあと1つは不明)の注射、抗生剤とタチオンの継続となりました(この時の潜血は尿道炎だろうと言われました)。ところがその時の抗生剤では、投与 2〜3時間後に嘔吐があったため、結局投与を中止して再度度注射を打ってもらい、約1週間でビリルビン値+1・白血球値+1、その2週間後には全てマイナスになりました。それでもタチオンの投与だけまだ継続中です。
これまで約10ヶ月、ほとんど毎月病院に行っています。尿検査の結果次第で投薬があったり、もう大丈夫と言われたり。
実際にワンコの状態はと言うと、最初の咳と途中の嘔吐、尿道炎と言われた時に褐色の尿だった以外では、深刻な症状はほとんどないのです。早めに手当てしているから重い症状にならずに済んでいると信じたいのですが、いつまでも本当に「健康」にならない気がして、もっと精密な検査でなら何かが判るのではという疑問を持つのは、やはり間違いでしょうか?(happyさんより)
happyさん、こんにちは。
飼い始めてすぐにケンネルコフ(第7回知って得する動物の病気の豆知識その3「犬のカゼ・猫のカゼ」でお話ししました、犬のカゼを総称してケンネルコフと呼んでいます)になってしまい、幸いそれは1ケ月程度の治療で完治したとのこと。しかし以後、検査と言うと(1回の検便を除いて)毎回尿検査のみ。尿検査で白血球が検出されたり、ビリルビンが検出されたりして、検査の程度が重い時に白血球に対しては抗生物質、ビリルビンに対してはタチオン(肝臓の薬の1つ)の投薬を指示されているとのことですね。
しかし一方、当のワンコは最初の咳と途中の嘔吐、褐色の尿以外に、ほとんど問題ないとの事。獣医さんが尿検査以外の(精密?)検査を奨めるのは、どういう状況の時でしょうか?とのご質問。難しいご質問にどのようにお答えしたら良いのかだいぶ考えました。
まず、動物病院における検査について、一般的な状況と思われる事をお話致します。
動物病院における検査と言えば、尿検査や便検査以外にも、血液検査(各種あり)、レントゲン検査、超音波検査、心電図検査…etc。さらにこまかい検査を挙げると、ちょっとした本一冊分になってしまうと思います。
要するに、尿検査の情報(結果)は、ほんの一部の情報にしか過ぎないという事です。
尿検査ばかりでなく、どの検査にもいえる事だと思いますが、診断する上で、ある時は決定的な情報(結果)を示してくれる時もありますが、多くの場合は、その一種類の検査で診断を断定する事は難しく、複数の検査結果を総合的に判断して、診断が下されるのが一般的だと思います。であれば、獣医師は「何でも全て検査をすればいいのではないか」という事になってしまいますが、それは検査には費用もかかる事ですし、少々問題があると思います。
いわゆる名医は、常にたくさんの検査をする獣医でもなく、また、検査をあまりしない獣医でもないと思います。
獣医師の役割(仕事)は患者さんの動物の状態を診て、今、何の検査が必要なのか考える事が(何の検査をすれば病気を診断することができるかを考える事が)一番の基本となると思います。
診断もつかないのに正しい治療はできません。
例えば、尿にビリルビンが少々が出ていても、それが必ず肝臓が悪い事を示すとは限らないのです。肝臓以外の病気(たとえば、玉ネギ中毒のような溶血を示す病気など)でもビリルビンが出る事もあります。もし尿にビリルビンが出ており、肝臓が悪いかもしれないと獣医師が考えた場合、数ある血液検査項目の中で、肝臓に関する数項目の検査を行なう事がまず第一に必要になると思います。
まとまりのないお答えになってしまいましたが、ご理解いただけたでしょうか?
もしもまだ不安や不明な点がある場合には再度こちらの「ペット相談室」にご相談頂くか、あるいは他にも獣医師が答えている相談室もあるようなので、複数の獣医師の答えを聞いて参考にしてみるのも良いかと思います。(2003.02.25)