2歳になるMダックスの仔なんですが、今まで、嘔吐することがなかったのですが、このところ頻繁に吐きます。
それも、ほとんど長時間にわたっての留守番の時です。吐く行為も分離不安症の中に考えられるのでしょうか? 食欲、元気もあります。実は、もう1匹の仔が入院してまして、一人で留守番をさせるのがかわいそうで常に連れて出かけていました。二人で留守番しているときは、このように吐く行為はあまり見られませんでした。
この仔は以前、主人にすごく怒られてから主人を警戒するようになり極度におびえるようになってしまいました。自営業ですので昼間でも主人が出入りします。そのたびに怖い思いをさせるのもかわいそうと思い私が連れて外出し、過保護になりすぎてしまいました。これから、どのように対処すればよろしいのでしょうか? 主人はそれ以後、叱っておりませんが、近くを通っただけでも唸ります。もう一人の仔が元気になって元通り二人でお留守番の生活になればなおるでしょうか。(恵子さんより)
恵子さんこんにちは。
一人でお留守番している時に限って、何回も嘔吐する事があるとのことですね。このご質問の中で一番重要な事は「分離不安症なのか、病気なのか?」だと思います。
お話のように、
1.元気も食欲も正常にある。
2.一人ぼっちになった時に嘔吐が起きる(同居のワンちゃんと2匹でいた時は起きていなかった)
という事からすると、やはり一人ぼっちになった不安から嘔吐しているように思います。
もしそうだとすると「分離不安症」でもあるし「病気」(心因性胃腸障害:例えばヒトの神経性胃炎のような病気)とも言えます。
そもそも、「分離不安症」という言葉が広く使われ始めたのは、数年前からです。本来「分離不安症」は一人ぼっちになった時に限り様々な問題行動(家具等咬む・トイレ以外で排便・排尿をする・吠え続ける)を示す事(病気は別)を言っています。
時に嘔吐(胃腸障害)を示したり、手や足を舐め続け脱毛や発赤等、皮膚炎のような病気の症状を示すようなケースは先程も述べましたように「心因性胃腸障害」とか「心因性皮膚炎」というれっきとした病気として扱われます。
要は、原因はどちらも「一人ぼっち」という気持ちから起きる事で、結果が問題行動なのか(心因性の)病気なのかで区別されていると思います。ただ、両者は非常に近い状態であるので、治療法の基本的な部分はかなり重なる部分もあると思います。
犬のいわゆる精神科の病気はまだまだ十分解っていなかったり、意見が統一されていなかったりする部分も多いので、今回の私の意見と異なる考えの獣医さん達も、たくさんいらっしゃる事と思います。
しかし、大切なのは早く治す事。一番良いのはもう一匹のワンちゃんが早く退院できるようになり、「一人ぼっち」でなくなる事だと思います。(2003.02.04)