ウエルシュ コーギー ペンブロークの♀putny(パトニー)です。満1才5ヶ月になります。
歯石が大変つきやすくて悩んでいます。
今年の7月に子宮内にできた腫瘍切除の為、卵巣も共に取ってしまう避妊手術に踏み切りました。その際、既についてしまっていた立派な歯石を除去してもらったのですが、獣医さんに、「歯石の付き易い歯で、将来が楽しみだねぇ。」(!)などと言われてしまいました。そして、その言葉通り、やはり日々蓄積していっているようです。
汚れレベルではなく、歯石化している所もあるので、スケーラーで除去すべくインターネットで検索してみたところ、不安材料が増えてしまい現在躊躇しています。
「犬の歯のエナメル質は人間の五分の一しかなく、スケーラーで頻繁にゴシゴシ擦り取ると、エナメル質を傷付けてしまうと同時に歯肉も傷付け、細胞を死滅させていきかねない」とあったのです。
素人が安易にするべきではないでしょうか?
獣医さんでする歯石除去でも、超音波スケーラーでの除去だけでなく、きちんとハンドスケーラーでのハートグレーニング、その後ボリッシングと行わないと、逆効果になる場合もある、とも書いてありました。
もちろん、飼い主によるホームケアが一番重要だということは分かっています。毎日の歯磨きが習慣化できていないので、反省しています。でも、現在確認できる歯石を何とか取ってあげたいと思うのです。また、全身麻酔で……というのはできれば避けたいのです。(パトままさんより)
パトままさんこんにちは。
歯石の問題は程度の差はあれ、どの飼い主さんにとっても悩みの種だと思います。実際、パトままさんのお話の様に歯石が大変つき易い子もいます。
パトままさんのパトニーちゃんは1才5ケ月との事ですが、幼い頃の乳歯は一般に生後4ケ月〜8ケ月齢で永久歯に生え替わります。したがって新しい永久歯が生えて1年足らずで立派な歯石がたまってしまったという事になりますね。
歯石のたまり易さを左右するファクターはおそらく沢山あると思います。たとえば、日頃の歯の手入れの有無あるいはその仕方(これが一番重要なファクター)・食事の内容(硬さ等)食べ方の癖・口の中の細菌バランスの個体差・だ液成分の個体差等が考えられると思います。要は環境のファクターと個体のファクターが複雑にからみあっているという事です。(個体のファクターは変えられません)
さて本題に入りますが、歯石としていったんついてしまったものは歯みがきでは取れません。方法論的には飼い主さんがハンドスケラーなどで歯石を取るか動物病院で歯石を取ってもらうか、2つに1つです。(放っておくと歯石がどんどん大きく発育(?)し、歯周囲炎や歯肉炎を起こし、歯槽膿漏や歯が抜けてしまったりと問題が発展していってしまいます)
飼い主さんがハンドスケラ−で歯石を取るメリットとして
●安価である
●麻酔をかけない
逆にデメリットとして
●正しいハンドスケラ−の使い方を熟知していないとむしろ歯の表面を傷つけてしまい、その傷になった表面はかえって歯石が再付着し易くなってしまいます。
又、傷がついた所はむし歯のもととなります。
●歯石を全てきれいに取る事はむずかしい(歯の内側や歯の間あるいは奥の方等)
●消毒等衛生面をしっかりしないとスケーリングによって傷ついてしまった歯肉に炎症が起きたり、細菌感染が起き、場合によっては細菌が体にまわってしまう事もあり得ます。
●おとなしい犬でないと難しい。
●歯石を取る事をきっかけに飼い主さんとの関係が悪くなってしまう可能性もある。
動物病院で歯石除去をする場合、今述べたメリット・デメリットが逆になると考えられます。
動物病院で歯石除去をする場合のメリットは、一般的には歯石除去後のポリッシングやルートプレーニング(歯の根っこの歯石を取ったあと、ザラザラになった表面をけずってツルツルにする事)がしっかり行う事ができ、又、消毒等の衛生面にも十分気を配られて行われます。又、ほとんどの場合全身麻酔をかけて行われますが、これも麻酔をかけることにより、超音波スケラ−で丁寧に歯石を取る事ができたり、本人の恐怖心をなくしてあげるといったメリットがあります。一般に動物病院では麻酔をかける場合には血液検査等あらかじめ、健康状態を確認した上で麻酔をかけますし、麻酔も昔に比べて格段に進歩していますので、あまり心配はいらないと思いますよ。
いずれにせよ、一度きれいに歯石をとってもらったら以後歯石がなるべくつかないように(それでも歯石は少しずつはたまってきますが、次に歯石を取るまでの期間が格段に延びると思います)歯みがきをする事です。毎日の事で大変ですが、その努力はむくわれることと思います。
小さい頃より歯ブラシに慣らしておく事が重要ですが、パトままさんのように1才を過ぎても慣らす事は可能だと思います(ただし我がまま犬になってしまった犬の場合は咬まれる危険もあるので注意して下さい)
ポイントは初めから歯ブラシを使うととてもいやがるケースが多いので、まず1週間くらい人差し指でやさしく歯ぐきをマッサージする程度で口の中をさわらせる事に慣らさせます(うまくできたらほめてあげて下さい)
慣れたら、人差し指にぬらしたガーゼを巻いて(歯と歯ぐきの境を中心に)歯みがきするように徐々にしてゆきましょう。犬の好きな味の歯みがきペーストもありますので、それを使う事により、歯みがきに対するイメージを良くする事もできます。「動物病院だより」弟8回「歯科衛生」を参考にしてみて下さい。
最終的に歯ブラシを使うのは無理でも指にガーゼを巻いて磨くだけでも効果は十分に期待できます。
パトままさん、頑張ってみて下さい。 (2002.12.20)