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乳腺腫瘍について教えてください

(ネコ・雑種/メス/1.6歳/名前・凪都)
ウチの猫のことなんですが、1ヶ月ほど前に乳首の周辺に仁丹程度の大きさのシコリが数個あることに気がつき、続きかかりつけの獣医さんに見てもらいました。
確かにシコリを確認しましたが、年齢的に乳腺腫瘍が出来るには若すぎるということで、乳腺過形成かもしれないということで、抗生剤と消炎剤を1週間あたえて様子を見ました。
再診の結果、シコリは消えておらず、乳腺腫瘍の可能性が高くなったのですが、先生も腫瘍専門の先生や大学病院等あちこちに電話して相談されたそうですが、1才で乳腺腫瘍が出たケースがないそうです。
シコリが広範囲に出ているので、外科手術になれば乳腺全摘出になるそうですが、先生も私も腑に落ちないというか乳腺腫瘍かもしれない、という曖昧な状態で全摘出の手術をしてもいいのかということで、悩んでいます。
猫の腫瘍は90%悪性ということなので、早期治療に越したことはないと思いますが、どうしても決断できません。
私としてはもうしばらく様子をみて、シコリが大きくなってくるようであれば、手術に踏み切るようにしようかと考えていますが、マスダ先生はどうお考えでしょうか?
追伸:避妊手術は8ヶ月の時に済ませています。(mckさんより)


mckさん、こんにちは。
1.6歳のメス猫の凪都ちゃんの乳首周辺に、1ヶ月前より仁丹くらいの大きさのシコリができ、乳腺腫瘍なのか、あるいは他の乳腺の病気か、はっきりしないとのことですね。
また、はっきりしない状況で、乳腺の全摘出手術(悪性の乳腺腫瘍を想定して)をすることにも、かなり抵抗があるのですね。当然だと思います。

一般的な考え方としては、手術(治療)をする前に、そのシコリが、おおよそ何なのか、わかった上で、手術をすべきです。そのためには、そのシコリに針を刺し細胞を一部採取して、そのシコリがどんなものなのか(腫瘍か否か)を調べるニードルバイオプシーという方法が一般的ではありますが、乳腺にできたシコリに関しては、その診断率は決して高いものではありません。

乳腺に関してより診断率の高い検査としては、そのシコリの一部分(例えば一乳房)を手術で検査のために摘出して、病理組織検査を行う方法、または、全摘出してからそのシコリを病理組織検査する方法のふたつが、主なものだと思います。

凪都ちゃんは、まだ若いので、乳腺腫瘍を発病する可能性はかなり低いものだと考えられます。また、乳腺にできるシコリのうち、抗生物質や消炎剤のような内科療法で小さくならないものは、乳腺腫瘍以外にも考えられます。
したがって、乳腺腫瘍と決めつける前に、乳腺の一部を切除して、検査センターで病理組織診断をしてもらえば、かなりはっきりすると思います。
万が一、乳腺腫瘍という診断だった場合は、再度で大変ですが、乳腺全摘の手術を考える必要が出てくると思います。

先程も申しましたように、凪都ちゃんはまだ若いので、状況的には乳腺腫瘍である確率は、mckさんが考えているほどは高くはないのではないかな、と想像いたします。 (2005.6.7)