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乳腺が張っているようです

(パグ/メス/1歳6ヶ月/名前・マロン)
マスダ先生、こんにちは。先日、おっぱいのたるみについて質問させていただきました。病院へ行ったところ、続きおっぱいのたるみは発情間近のため、乳腺が張っているのだろうという診断が出ました。マスダ先生の見解をお聞かせ頂くとともに、いくつか質問もさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
1.ここ2〜3週間で急激に乳腺が張ってきましたが、出血はありません。発情期というものは必ずしも出血は伴わないのでしょうか?
2.最近、指や足・クッションなどに噛み付くという行動が目に付きますが、これは発情の兆候と捉えて良いのでしょうか? それとは別に、一番下の右おっぱい付近にしこりを発見し、調べてもらった結果、乳腺腫瘍と診断されました。大きさは5ミリ以下で、発情期が終了次第、手術を行う予定です。
3.今は乳腺が張っているので、その乳腺の張りが目立たなくなったら発情期の終了という指標で日々注意しており、確認後、手術という流れなのですが、1,2の質問と関連して何か他に指標があれば教えていただけますか?
ちなみに、腫瘍の一部分を取り出して行う検査はしていませんので、良性か悪性かはわかりません。
また、HPを参考にさせていただいた結果、同時に避妊手術も行うつもりです(ギリギリの時期だと思いますので)。
更に、マロンには直径1cm程度の「でべそ」があり、押すとへこみますが、すぐに元通りになります。診断では、このでべそは「腸ヘルニア」だそうで、今回お腹を開いたときに(言い方は不謹慎ですが)、ついでに管をふさぐ事によって、将来、腸が外に飛び出すのを防ぐということでした。いつかデベソの手術をする事になるならば、今回の手術で全身麻酔の回数を1回でも減らす(リスクを減らす)という意味だと先生はおっしゃっていました。当然、麻酔をかけるのですが、全麻による死亡やショック死は、1万〜数万分の1程度だということを先生のHPにて拝見しました。
4.ただ、他犬種に比べると体の構造上、パグは手術に弱いところがあるそうですが、いかがなものでしょうか?当日は術前に血液検査とレントゲン検査を行いますが、やはり、全麻やショック死には不安が残ります。マロンはまだ若いですし、このリスクよりも避妊手術を受けないがため、将来発生するかもしれないメス特有の病気の方が怖いというのも良く分かるのですが…。(マロンさんより)


マロンさん、再びこんにちは。
前回のご質問のあとマロンちゃんに5mm以下のしころが見つかり、新しい展開になってきたようですね。
そういった状況の中で、いくつかのご質問が新たに出てきたのですね。
 
まず、一般的に雌犬の発情の兆候は、陰部からの出血と陰部の腫大です。
出血の量は年齢等のファクターにも左右されますが、個体差もかなりあります。出血の量が少ないケースでは犬自身が舐めてしまい、飼い主さんにはわかりにくいケースもあるかもしれません。
基本的には、発情期は多かれ少なかれ出血をともなうものと、考えて頂いておおむね良いと思います。
 
次に、指やクッションに噛みつく行動に関してですが、現在出血がないとすれば、前述したように発情期でない可能性が高いわけですので、発情の兆候というよりも遊びや暇つぶしの可能性も考えられますが、近いうちに発情が始まるのか否かを含め観察が必要だと思います。
 
最後に、手術(乳腺腫瘍・避妊手術及び、でべそ(臍ヘルニア))に関してですが、術前の検査をしっかり行うことで、麻酔や手術のリスクを減らすこと、あるいは予測することができます。
又、パグ等の短頭種に呼吸時に空気の通り路が少し狭い傾向がある個体もいますので、そのようなことが言われているのかもしれませんが、その点に関しては、獣医師側も十分に注意して麻酔等の処置をしております。マロンさんにとって色々な不安があるかもしれませんが、不安な部分は、あらかじめ実際に診察して下さっている獣医師に相談し、少しでも不安を解消してください。
そうすることにより、飼い主さんと獣医師との信頼関係はさらにしっかりした物になって行くと思いますし、とても大切な物だと思います。(2005.5.24)