(シャム系雑種/メス/8歳/名前・なんなん)
猫のフィラリア予防の薬について教えてください。最近、猫のフィラリア予防の薬のことを知りました。
ネットでいろいろ検索していると『室内飼いだとあえて必要ない』『室内飼いでもしておくべきだ』という賛否両論の意見を目にします。実際はどうなのでしょうか? 先生のご意見をお聞かせいただければありがたいです。
また、薬による副作用とかは大丈夫なのでしょうか?
このお薬『ビーフ』ということで少し躊躇しています。というのは、数年前、新聞で、英国で狂牛病で処分された牛肉が外国へキャットフードの原料として輸出され、オランダでは、ビーフのキャットフードを食べて狂牛病に感染してしまった猫が出たという記事を読みました。その記事を読んで以来、わが家では、ビーフのキャットフードは与えないようにしています。考えすぎかもしれませんが、この点も気がかりです。先生のご意見をお聞かせいただければありがたいです。(あめまさんより)
あめまさん、こんにちは。
猫のフィラリア予防薬の必要性と安全性に関するご質問ですね。
非常に難しいご質問だと思いますが、あめまさんと同じことを考えている人も少なくないと思いますので、私なりの考えをお話し致します。
まず第一に、フィラリアとは蚊が媒介する寄生虫で、本来犬の心臓の中に寄生します。心臓に入って成熟すると長さが15cm〜25cmになるソーメン状の寄生虫です。
猫の場合、犬に比べて感染率及び心臓に到達する率ともに非常に低いと言われています(フィラリアにしてみると犬の体は非常に住み心地が良いけれども猫の体はあまり住み心地が良くないのかもしれません)。
ただ、猫の場合もまれではありますが、心臓に感染がある猫がいることも事実です。しかしフィラリアは蚊が媒介者になりますので100%蚊に接触がなければ感染することはありません。
獣医師の立場からお話し致しますと、「予防が必要です」とか「予防は必要ありません」とか断定的なことは言えませんし、言う立場でもないと考えられます。
本院では、今回最初の方でお話し致しました猫のフィラリアに関する事実を飼い主さんに説明し、飼い主さんが自分の飼っている猫の飼育環境を考慮したうえで、「予防する」か「予防しないか」を飼い主さんに決めてもらっています。
あめまさんの期待する回答とは違っていたかもしれません。あめまさんのおっしゃるように、ネット上で一般の方々の間に賛否両論があるように、獣医師側も予防をすすめる獣医師もいれば、予防しなくて良いという獣医師もいると思われます。したがって、猫のフィラリアに関する正しい情報を飼い主さんが知った上で、飼い主さん自身に判断してもらうのが一番正しいことだと私は考えているのです。
次に、BSE(狂牛病)に関してですが、当時発生がイギリスだけだと思われていたのですが、後に日本をはじめアメリカ、カナダで発生の報告がありましたね。発生頭数は少ないものの発生があった国では、各国とも政府が中心となり、BSEの検査・撲滅に現在努力しているところであり、また流通しないようにも努力しているところだと思います。私達日本人もBSEの発生する前は不安を感じずに牛肉を食べていたわけですが、現在では「牛肉を食べる人」もいれば「牛肉は食べない人」もいます。やはりこれも各自が選択し、決めている事です。
動物達のフードも同じことが言えると思います。
要は、やはり飼い主さんが選択するということだと思います。この件に関しては、私が絶対安全、あるいは逆に危険だなどと言う立場にないと思います。そういう私は牛肉も平然と食べています。あまり良いお答えができず、申し訳ございません。 (2005.4.5)