(プードル/メス/12歳/名前・ネネ)
今回、脾臓に腫瘍がある気配がして手術で摘出することになりました。まだ、検査の結果は出ていませんが、取り出した脾臓が腫瘍ではないみたいです。
見た感じは少し肥大していて変色してる状態でした。変色してても腫瘍ではない場合もあるのでしょうか?
それと、何もなかったんですが取り出してしまったんで今は脾臓がない状態です。脾臓はなくても大丈夫と色んな人に聞きましたが、何人かの人はやっぱり脾臓も何かの役目のためにあるので必要だと言われました。
取ったことによる問題を教えて欲しいのですが。感染の問題や貧血もあるのではないでしょうか? 心配です。(佐々木さんより)
佐々木さん、こんにちは。
12歳メスのネネちゃんが、脾臓の腫瘍の疑いがあり、手術で脾臓を摘出したとのことですね。
摘出した脾臓は、やや肥大しており変色していたようですので、おそらく、正常な状態ではなかったのだと考えられ、摘出したことは、ネネちゃんにとって良かったのではないかなと思います。
摘出した脾臓の病理組織学検査がまだのようですが、悪性の腫瘍でないことを願っております。
脾臓の異常には、悪性または良性の腫瘍以外にも、脾臓の過形成あるいは脾臓能亢進症、脾臓内出血などの病気もあるのです。
次に、脾臓を摘出することで、何か問題が起こるかのご質問に関してですが、結論的にいうと、脾臓を摘出しても、まず問題が起こることはないと思います。
脾臓の働きには、大きく3つあります。
ひとつは、一時的に血液を貯めておく場所です。
例えばマラソンなど、激しい運動をしている時に、左のお腹が痛くなることがありますね。これは、激しい運動を行うと、体に酸素を運ぶ血液が更に必要になるために、脾臓に溜まっている血液を出そうとし、脾臓が収縮することにより、左のお腹が痛くなるといわれています。
しかし、脾臓を摘出しても(血液を造る骨髄に異常がなければ)貧血になることもありませんし、日常の運動に支障をきたすことも全くありません。
もうひとつの脾臓の働きは、古くなった血液を処理する臓器であるということです。しかし、脾臓を摘出した場合は、その役割を肝臓が代わりに行います。肝臓に負担がかかることはありませんし、全く問題ありません。
みっつ目の脾臓の働きは、リンパ組織としての役割です。
リンパ組織は、免疫に関しての働きをしています。
リンパ組織は全身に沢山存在し、脾臓はそれら沢山のリンパ組織のごく一部の役割しかしていないので、脾臓を摘出しても、それほどの免疫の低下はないと考えられます。
本院でも、実際に脾臓に異常が起こったので、摘出したケースは沢山ありますが、その後、何か感染しやすくなった…などの問題は見受けられませんでした。
したがって、脾臓を摘出しても正常な生活ができますし、正常な生活をして大丈夫です。
強いて言えば、激しい運動やあまりストレスのかかるような状態を避けておいてあげれば、ネネちゃんも大丈夫だと思いますよ。(2005.3.29)