(マルチーズ/メス/8歳/名前・ロン)
半月ほど前からおりものがひどく、お医者に見せたところ子宮蓄膿症と診断されました。
手術した方がいい、その直前に風邪をひき下痢が続いて激痩せしてしまっていて、体力のない今の時点で手術をするのは無理だろうといわれました。
とりあえず、病院でいただいた子宮の薬を飲ませ、体力をつけるためいろいろと食べさせています(食欲はあるので)
しかし、おりものの量がひどく、それをしきりに舐めたがります。陰部を直接舐めないように首にカラーを巻いていますが、毛布などに付いたものすら舐めたがります。
こういう場合、おりものが止まるまで時間がかかるものなのでしょうか。また、舐めても大丈夫なのでしょうか。
おりものは、子宮を取らない限り止まらないものなのでしょうか。
体力と体重が戻り次第、手術しようとは考えているのですが……。それまでまだ時間がかかりそうなので、心配です。(チエさんより)
チエさん、こんにちは。
子宮蓄膿症は、一般的に中年以降の避妊手術をしていない雌犬に発生する病気で、治療が遅れると命にかかわる重大な病気です(第16回「動物病院だより」を参照してください)。
治療は、一般的には早期に手術をし、膿の貯まった子宮と卵巣を摘出します。また、手術以外にホルモンの注射で治療する方法がだいぶ以前に提唱されたことがありますが、この治療ではうまく治らないケースも多く、結果的に死亡してしまうこともありますので、ホルモンの注射の方法は一般的ではなく、どうしても手術できないケースで、賭けとしての選択肢の1つと考えて良いでしょう。
したがって、私自身の考えとしておすすめできません。現在、ほとんどの獣医師は、子宮蓄膿症の場合、手術を選択しているのが現状です。
子宮蓄膿症には、2つのタイプがあります。
1つは、子宮頚管が閉まっているタイプで、子宮に膿が貯まっても頚管が閉まっているので、陰部から膿が出る事もなく、発見が遅れがちで、また、膿の毒素もまわり易く早期に発見し早期に手術しないと助からないケースもあります。
もう1つは、子宮頚管が開いているタイプで、ロンちゃんはこのタイプだと考えられます。子宮頚管が開いているタイプは、陰部から膿が出ますので、飼い主さんも発見しやすく、また前述した子宮頚管が閉まっているタイプに比べ、毒素がまわるのは遅いと考えられます。が、やはりだんだん毒素がまわってくると状態は悪くなってきてしまうので、手術のリスク(危険度)は高くなってきてしまいます。
したがって、子宮頚管が開いているタイプでも、早期に手術することが重要となります。
そういった点で、半月も前から陰部より膿が出ている様子なので、すでにだいぶ時間的に経過してしまっていると思います。これ以上の時間的な浪費は避けたいところですが、体調を崩してしまったとのことですので、仕方ありません。重要な事は「いつ子宮蓄膿症の手術に踏みきるか」ということだと思います。かかりつけの先生とよく相談してください(難しい判断となると思いますが……)。
次に、犬の場合、陰部から膿が出ると舐めてしまうことも多いのですが、膿の中には細菌がいっぱい存在しているので、良い事ではありません。しかし、膿を舐めてしまっても、その事で体調を崩していまうことは、かなり少ないのではないかという印象を持っています。
最後に、膿は子宮蓄膿症の手術をして膿の元を取り除かない限り、出続けます。また、犬も衰弱していってしまいますので、なるべく早めの手術がやはり必要となります。(2005.2.3)