50日になったので一回目のワクチンを受けてきましたが、その時に、他の犬と遊ぶのは3回目のワクチンが終わってからといわれました。
でも、そうするとワクチンが終わるまで犬同士のふれあいができなくなります。
早く他のワンちゃんと遊ばせてあげたいのですが無理なのでしょうか?
何匹も飼っているお宅など、あかちゃんのときはどうしているのでしょうか?
早く犬同士のふれあいが出来るようになるよい方法があったら教えてください。(konさんより)
konさんまたまたこんにちは。50日齢で射つ1回目のワクチンが終わったとのこと、とりあえず良かったですね。
ワクチンは生後2〜3回射つのです。それにはいくつかの理由がありますが、簡単に言うと(かなりおおざっぱですが)、生後間もなく飲んだ母乳(初乳)には、病気から仔犬を守ってくれる免疫(移行抗体)が入っているのです。もちろんこれは母親がちゃんとワクチンを射って、免疫を持っている事が前提ですが……。
移行抗体が一定以上あればウイルスに感染する事(病気になること)はありません。
その仔犬によって移行抗体が少なくなってくる日数は様々です。統計的にみると早く移行抗体がなくなるのは50日齢、一方長く持続しても、90日齢くらいまでしか持続しない(パルボ等一部の病気を除く)のです。一方ワクチンは移行抗体がある程度少なくならないと効かないのです。したがって早く(50日齢くらいで)移行抗体がなくなる仔犬なら、50日齢で射ったワクチンが効きます。
ただし、90日齢まで移行抗体が持続する仔犬の場合、50日齢で射ったワクチンは(50日齢の時点では移行抗体がまだ十分あるので)効いていないので、90日齢でもう一度射つのです。
簡単に言うと、50日齢と90日齢で2度射てばどちらかが効くという理屈です。言いかえるとどちらか一方だけしか射たないと全く免疫ができない事もあるということです。→危険!
話は長くなりましたが、さて本題に入りましょう。
konさんの言うように、病気にかからない事を主に考えると100%近く安全に(注射による免疫ができてから)他の犬と接触させるためには、生後90日齢以後になってしまいます。
一方、社会化の観点から見ると生後50〜60日くらいから他の仔犬やおとなしい成犬、他の人間、車の音や姿等色々経験する事が重要です。そこに、大きなジレンマが生じてきます。
それを克服するためにはいくつかのポイントがあります。以後ポイントを挙げてみましょう。
1.ワクチンをきちんと接種している犬同志なら基本的に安全です。
※仔犬同志に限らずおとなしい成犬と遊ぶのも社会化の効果があります。
2.万が一、ワクチン接種が完全でない犬と接触しても自分の犬にちゃんとワクチンを接種してあげれば(接種直後には十分な免疫はできていません。10〜14日かかります)かなり(80%くらいでしょうか)安全です。
50日齢でワクチン接種してあれば(最初にお話したように)50日齢くらいで移行抗体がなくなってきてしまう仔犬の場合では、ワクチンによる免疫ができてきますし、90日齢まで移行抗体が持続する犬でも(50日齢で射ったワクチンは効きませんが)移行抗体で90日齢くらいまでは病気から守られるというわけです。
3.可能ならパピークラスを行っている信頼できる施設(動物病院等)に相談してみて下さい。(こういった施設があればとても良いと思います)
※パピークラス:健康(獣医師の判断が大切)且つ、ワクチン接種をしている仔犬同志でのふれあい、社会化練習を目的とした教室です。
4.健康そうでない犬との接触は極力、避ける。(目やにや鼻汁が出てたり…etc)
5.パピークラスや、きちんとワクチン接種してある犬とどうしても接する機会がないケースでは、50日齢でのワクチン接種後だっこして(地面を歩かせず)外の様々な景色や音、匂い、人や犬を見て経験させる。健康そうでない犬やワクチン歴が不明な犬との接触は極力避ける。
以上の事に注意してみたらいかがでしょうか。(2002.8.26)