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慢性腎不全について教えてください

(ネコ/メス/9ヶ月)
我が家の猫が2匹とも、まだ若いのに、血液検査の結果「慢性腎不全」ではないかと診断されました。続き
ここ(某発展途上国)ではWALTHAM Rehydration Support などの医療用電解質が手に入るかどうか分からないので、ポカリスウェットなどのスポーツ飲料を与えられないか藁にもすがる思いでと考えているのですが、大丈夫でしょうか。(Akiさんより)


Akiさんこんにちは。
2匹は同腹の猫なのでしょうか?
まだ生後9ヶ月の猫が2匹とも「慢性腎不全」になることは確率的にはとても低い事だと思います(先天的あるいは遺伝的な腎臓疾患があれば別ですが、一般的に慢性腎不全は高齢になると発生しがちな病気だからです)。

私が以前に書きました「第26回動物病院だよりの慢性腎不全」の症状等を参考にして思い当たる症状があるか観察してみて下さい。
ただし、症状が一致したからといって必ずしも慢性腎不全とはかぎりません。他の症状でも同じような症状を示す病気もあるからです。

さて、次に「慢性腎不全」だとして考えた場合、どんな治療をすべきかは病気の進行状態・程度により様々なのですが、まず第一に食事中の蛋白を少量にして良質なものにしたり…etc、という食事療法です。
WALTHAMで言うと、Low proteinという処方食があります。
他にも、Hill'sのk/d等、腎臓病の猫用に開発された専門の処方食がいくつかのメーカーから(日本では)販売されています。その他に何か症状が出ている場合は輸液等の治療も必要になるかもしれません。

Akiさんのおっしゃるように電解質のバランス維持も大切な事かもしれませんが、初期であれば先程お話致しましたように処方食等による食事療法を主体に考えた方が(私の個人的な考えとしましては)良いと思います。
また、重度の慢性腎不全の場合の電解質のバランス維持は簡単に行えるものではなく、まず病気の猫の血液中の電解質のバランスがどうなっているのか、血液検査で調べてから、方針を決めるべきだと思います。

更にAkiさんのWALTHAM Rohydration supportをはじめ、ポカリスエットも、普通の脱水症状の改善のためのものであり、慢性腎不全用に開発されたものではありません。
それらは慢性腎不全の猫にとってみると、ある電解質(たとえばナトリウム等)は過剰に入っており、また別の電解質は不足しているということも起こり得ると思います。

先程もお話し致しましたように、まだあまり症状が出ていなければ電解質のバランス維持を考えるよりも、慢性腎不全用の食事療法(腎臓病用の処方食)に重点をおいた方が良いと思います。
腎臓病用の処方食の場合、それ自体電解質のバランスも腎臓病にあったバランスで作られていますので、飲み物に電解質を混ぜる必要もありません。
処方食はそちらにはあるのでしょうか? (2004.03.17)