(ゴールデンレトリバー/オス/1歳10ヶ月)
1ヶ月ほどまえから就寝中に尿漏れがあったようなのですが最近までゴールデンなのでよだれであろうと思って見過ごしていました。
先日、かかりつけの病院に行ったところ尿比重が小さいとの指摘があり、尿漏れは多飲・多尿により膀胱がいっぱいなため、睡眠中の緩んだ状態で漏れがあるのではないかといわれました。
尿検査では膀胱炎の兆候なし、血液検査(BUN、Cre、TP、GPT、ALP、T-Cho、Glu、ヘマトクリット)でも腎臓、肝臓等の異常はみられないとのこと。取りあえず、飲水量と尿量を測て様子を見ることになりましたが、本日の結果では飲水量は2L弱、尿量は1.3L強でやや多い気もしますが、尿漏れの直接の原因とも思えません。
排尿は朝、昼、夕方、夜と最低でも4回しています。
尿比重が低い原因が今のところ不明なのも心配です。
去勢もしておりゴールデンに多い甲状腺機能低下のことも気になりますが、今のところ食欲も元気も充分あります。
また、尿漏れの原因として多飲・多尿以外の原因として考えられるものはないのでしょうか? 何か機能的(尿道のしまりが何らかの原因でゆるくなったなど)な要因は何か考えられるでしょうか? セカンドオピニオン的な質問となりますが、よろしくお願いします。(ああさんより)
ああさんこんにちは。
1歳10ヶ月の雄のゴールデンレトリバーが、1ヶ月ほど前より就寝中に尿失禁(尿漏れ)をするとのことですね。
お話からすると、かかりつけの先生は、順序たてて尿失禁の原因を探っていて下さるようですし、まだその経過途中にあると思われます。
現在、多少、多飲多尿の傾向にあるかもしれませんが、それほど激しいものではなさそうです(正常な尿量は体重1kg当りおよそ20〜40cc(1日)と言われていますので、例えば、体重が30kgであれば、1日の尿量は0.6〜1.2リットルが正常量だと思います)。ただし、もし、尿比重が何度調べても低いようであれば、尿比重が低いことは診断する上でも重要なポイントかも、と頭に入れておかなくてはなりません。
さて、尿失禁を起こす可能性を、私なりにいくつか述べてみましょう。
(そのうち、幾つかはかかりつけの先生が既にチェックして下さっています)
1.多飲多尿:沢山お水を飲み、尿も沢山出るといった症状を示す病気はいくつかあります(病気でないものとしても、例えば塩分の多い食事を与えていると多飲多尿になりますので、食事内容のチェックも重要ですが)。
ただ、「少しずつポタポタ」という具合の正式な尿失禁というよりも、尿を朝まで我慢できなく、夜に一度の多量の尿をしてしまうような症状になる可能性が高いと思います。
2.頻尿:膀胱炎などにより、膀胱が過敏な状態になると、何度も尿意を感じ(残尿感)、排尿姿勢を取るものの尿はあまり出ない(かかりつけの先生の診断でも膀胱炎の兆候はないとのことですし、“就寝中に尿漏れをする”とのことで、症状も少し違うように思います)。
3.排尿困難:中年以上の去勢手術をしていない雄犬の60%に程度の差はあれ、前立腺が肥大しているというデータがあります。
前立腺が肥大したり、尿道に尿道結石がつまったりすると、尿失禁や排尿困難を起こす可能性が出てきます。ただし、ああさんのケースでは、可能性は低いと思われます。
4.高齢による尿失禁:高齢(特に痴呆になってくると)になると、尿失禁を起こすようになることがあります。これも、ああさんのケースでは考えなくて良いと思われます。
5.その他の尿失禁:上記以外の尿失禁はまれですが、他にも尿失禁を起こすことがあります。
まれに、雌犬(避妊済も含め)で尿失禁を起こすことがあります(雄犬でもごくまれに存在します)。ホルモンのバランスが原因とも言われています。
更に、ああさんの仰るように、まれに何らかの原因で(膀胱の働きを支配する神経や筋肉の機能の低下等)、尿道のしまりが悪くなり、尿失禁を起こすこともあるようです。その場合、膀胱の尿を貯める筋肉をゆるめ、膀胱の出口の筋肉をしめるお薬が功を奏するかもしれません。
単なる文章の羅列になってしまいましたが、以上の私の解答を参考にして頂き、かかりつけの先生と良く相談してみて下さい。 (2003.11.12)