(ヨークシャーテリア/メス/1歳4ヶ月/名前・蘭ちゃん)
乳歯の抜歯の必要性について質問です。
いつも通っている動物病院がお休みのとき、具合が悪くなり診てもらった病院で、乳歯(犬歯)が重なって抜けないからすぐ抜いたほうが良いと言われました。
さらに奥歯に歯石もあるのでついでに取るとのことでした。
麻酔も必要とのことで、急に言われただ驚き、心の準備がなかったので帰ってきました。
このままにしておいては、やはり感染のもとなどデメリットのほうが大きいのでしょうか?
まだ1歳4ヶ月にしては歯石のたまるのが早いし、ヨーキーは特に歯が弱いと聞きます。抜いてもらうしかないのでしょうか。アドバイスお願いします。(蘭さんより)
蘭さんお久し振りです。
去年の冬は子犬だった蘭ちゃんに防寒対策として洋服を着せてあげたのでしょうか? 今年はこの頃やっと寒くなってきた感じですね。蘭ちゃんも、もう1歳4ヶ月。1年が過ぎるのは早いものですね。
さて、余談はこれくらいにして……。
乳歯(犬歯の)がまだ残っているので、すぐ抜いたほうが良いと言われた、との事ですね。
普通、乳歯は生後6〜7ヶ月で抜け落ち、永久歯に生え替わります。しかし、蘭ちゃん(ヨークシャテリア)をはじめ、小型犬では、乳歯が抜け落ちず、永久歯と並んで生え残ってしまうケースがしばしばあります。これを乳歯遺残といい、特に犬歯の乳歯は遺残しやすい乳歯です。
乳歯が遺残しているデメリットとして、
1.永久歯の生えてくる位置が適切でない事がある。
これは、人で言う歯並びにあたりますが、あまり歯並びが悪いと、下の犬歯が上顎にぶつかってしまうケースもまれにあります。予防方法は抜けない乳歯を早期に抜いてしまうことですが、蘭ちゃんの場合、すでに永久歯は完全に生えている年齢ですので、永久歯が上顎にぶつかったり、噛み合わせに問題がなければ、結果オーライということになります。
2.遺残した乳歯と永久歯の隙間に歯石がたまりやすくなる。
歯と歯の間の隙間の少ない部分には、歯石がたまりやすいわけですが、犬歯の場合、まさに遺残した乳歯と永久歯の間は歯石がたまりやすい場所となります。
1に関しては、現在、噛み合わせに問題がなければ、考えなくて良いと思われます。2の歯石がたまりやすくなることに関しては、一番良い予防方法は歯磨きを毎日することで、小さい頃からしつけると、やりやすいかもしれません(第8回動物病院だより「歯科衛生」を参考にしてみてください)。
しかし、なかなか歯磨きを続けることは難しいので、定期的に歯石除去を動物病院で行ってもらうケースも多く、その時に遺残している乳歯を抜いてもらえば、一度の麻酔で二つの仕事ができるわけですから、十分なメリットがあると思います。
今回の蘭さんのお話から私が想像する限り、「すぐ抜かなければ」と一刻を争うケースではないと思いますので、かかりつけの先生に、歯石をいつ取ったら良いのか、また、遺残した乳歯はそれまで放置しておくことにより何か問題は起きないのか、今一度相談してみたらいかがでしょうか?
その時、歯磨きの指導も一緒にしてもらえると、更に良いと思います。
ちなみに、私自身が経験したケースでは、生後18ヶ月(約1歳半)でようやく自然に犬歯の乳歯が抜け落ちたワンちゃん(だいぶ昔のことなので犬種は記憶していませんが小型犬だったことは間違いなく覚えています)がいました。
ただ、これはまれなケースで、蘭ちゃんは1歳4ヶ月なので、自然に抜け落ちることは、ほとんど期待できないと思われます。 (2003.11.11)