(ネコ/オス/約1ヶ月)
先日、家の前に体重500g程度の子猫が捨てられていました。とりあえず保護し獣医さんにも診て頂きましたが、呼吸の状態が変で胸の中心部(みぞおちのやや上で右肋骨と左肋骨の間)が息をする度にとてもヘコみます。
肋骨の下部あたりの骨も、呼吸の度に頭の方へ持ち上がり、苦しそうな息をします。
食欲はあるのですが、少しの量(缶詰)しか食べられず体重が増えません。
便通はやや軟便の時も有りますが、一応は普通に出ています。
保護当日は声も少し出ていましたが、今は全く出なくなりました。抱っこしてやると、嬉しそうにノドをゴロゴロ鳴らしますが、それも息が詰まるような感じで苦しそうなゴロゴロです。
今日、再度病院で診てもらうと『漏斗胸』だと診断されました。
成猫ぐらいまで成長出来れば手術という方法もあると言われましたが、今の段階では何も打つ手が無いらしいです。
この子猫の世話をしていく上で気をつけることや、何かしてあげられることなど有りましたら教えて下さい。そして、よろしければ重度の漏斗胸について教えて下さい。(にゃんママさんより)
にゃんママさんこんにちは。
生後1ヶ月の仔猫が重度の「漏斗胸」とのこと、ご質問の文章からは、なかなか難しい状況のような印象を受けております。
「漏斗胸」は、左右の肋骨が胸の下側(人では前側)で結合している肋骨の先天的な異常で、肋骨が肉側に陥凹しまう病気です。
一般的には症状を現わす事はまれで、一生問題なく過ごせるのですが、まれに陥凹の程度がはげしい重度の「漏斗胸」では、陥凹した肋骨が、心臓や肺を圧迫し、息切れや呼吸困難を現し、場合によっては、命に関わることも考えられます。
家庭では、特別な処置はできませんが、しいて言うと安静を心がける事は大切だと思います。
治療に関しては、重度のケースでは外科的な方法が取られるケースもありますが、困難をきわめます。
成長期の場合、ギブスを利用し、肋骨を外側に引っぱる方法で外科的に治療し治ったケースの症例が学会で発表されていました。
いずれにせよ、重度の「漏斗胸」を治療するのは困難をきわめます。
もちろん一言で重度といってもケース毎に微妙に程度も違いますので、治療法・方針も一つとは限りません。
ただ、にゃんママさんのお話によると、みぞおち(肋骨の陥凹部)が呼吸とともに少し動くようですので、胸部あるいは肋骨との接合部の接合がうまくいっていないのかもしれないという印象があります。
その点を含めて考えると、単に重度の「漏斗胸」のみではないかもしれないと感じます。(2003.10.21)