(シーズー/オス/11歳/名前・ブラウン)
1ヶ月半前になるのですが耳から血のような固まりがあるのを発見し病院に連れて行きました。外耳炎とのことで治療を続けているのですが、2日程経つと膿が出る状態がずっと続いています。
一日後はきれいな耳なのですが。その間2〜3日に一回(今では毎日)耳を洗ってもらいゲンタシンなどの薬を塗って抗生物質の注射も薬も試したのですが、以前と変わらず小指第一関節の半分くらいの膿が耳の外に出てきます。
耳はただれたり赤くなったりしていないのに奥から沢山出てきます。
頭とかに行かないか心配だしいつもは外耳炎になっても2〜3回で終わるのに・・・。
こんな外耳炎はよくあるのですか?
もう歳だし心配です。(かおるんさんより)
かおるんさん、こんにちは。
シーズーのブラウンちゃんの耳の奥から多量の膿が出てきて治療(外耳に薬を塗ったりの処置と注射)をしても反応がほとんどないとのことですね。
シーズーは外耳炎になりやすい犬種の1つで、一般に外耳炎を起こすケースは多いと思います。
外耳炎に関しては以前の「第5回 動物病院だよりの外耳炎・中耳炎」を参考にしてください。
ただし、外耳炎と言っても原因の種類や程度によって治っていく経過は様々です。
かおるんさんがおっしゃるには、以前外耳炎になった時はすぐに治ったとのことですが、今回は非常に治りが悪いということですね。
大切なことはなぜ今回は治りにくいか、追求する事だと思います。
考えられる事は色々ありますが、可能性の高い事柄としては、
1.原因菌が薬に強い菌で、今回使用している抗生物質(ゲンタシン)が効かない細菌(ゲンタシンに耐性菌)あるいは細菌以外の真菌(カビの一種)が感染している等の可能性があります。
まず膿を顕微鏡で調べ、原因が細菌なのか、真菌なのか、それら以外なのかを検査する必要があります。もし細菌であれば現在使用している薬は効果がなさそうなので、どの抗生物質が効くか調べる検査(感受性試験といいます)が必要となります。感受性試験の結果、今回感染している細菌に効く抗生物質が見つかれば、その抗生物質で外耳処置したり、全身投薬(注射や飲み薬等)を行っていけば良いと思われます。また、もし真菌であれば抗真菌薬を使います。
2.次には犬側の皮膚(耳及び耳道も皮膚の一部です)に問題があり、耳の穴の表面の細菌等に対する抵抗力が弱いという事も考えられます。
アトピーがあったり、耳の穴の中に腫瘍ができたり、あるいは日頃自宅で綿棒等で耳そうじして耳の穴の表面を傷つけてしまったりと、耳表面のバリアーが弱まる問題を持っていると、細菌は繁殖しやすくなり、結果として重症の外耳炎を起こし、根本を解決しないと治りにくい事も考えられます。
その他にも治りにくい外耳炎の原因はあるかもしれませんが、この2つは重要な事柄です。
特に1.の原因菌の顕微鏡検査と感受性検査は、やってみる価値の非常に高い検査だと思いますので、いまいちどかかりつけ先生に相談されたらいかがでしょうか。(2003.09.16)