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痙攣を起こし老人性脳症と診断されました

(パグ/オス/11歳/名前・ビー)
4、5年前から痙攣を起こします。
癲癇をおさえる薬を状況を見て量を続き調整しながら飲ませています。
痙攣を起こさないときは10秒位のを月一位で起す位ですが、ひどいときは30分も1時間もおさまりません。そんなときは、病院へ行きますが、「眠らせる薬を注射するしかない」といわれます。
先生が言うには「老人性脳症」だそうです。
それに痴呆がはじまっているのか、脳症のせいか左周りがひどく、この状態はご飯を食べると眠るのでおさまります。
もう治せないのでしょうか?
パグ脳炎という言葉を聞いたことがありますが、それではないんでしょうか?
もう現状維持で一日でも長く一緒にいれることを願うしかないのですか?(かごさんより)


かごさんこんにちは。

11才のパグのビーちゃんがここ4〜5年、突然痙攣を起こす症状が間けつ的に繰り返すとのことですね。
痙攣している自分のワンちゃんを見るのは、とてもつらいものです。

痙攣を起こす病気にはいくつかありますが、それらを鑑別するためには種々の検査が必要になります。
痙攣を起こす病気は大きく2つに大別することができます。
1つは脳そのものの病気、もう1つは脳をとりまく環境の問題(例えば脳に送られる血液成分の異常として血液中のアンモニア濃度の上昇や血液中のカルシウム濃度の低下、脳に送られる血液に問題が起き、結果として脳がうまく働けなくなり、痙攣を起こすケース)の2種類です。

後者は血液検査等である程度わかりますので、血液検査の結果、異常が見つからなければ前者の脳そのものの病気の可能性が高くなります。
ただし、脳そのものに異常がある場合に脳の状態を観察するためには、CTやMRIなどが必要になってきてしまいますが、それらは大学病院か、一部の開業獣医にしかありませんので、簡単に脳の中を調べることはかなり困難になってしまいます。

話は少し変わりますが「癲癇」も「老人性脳症」も「パグ脳炎」も病気はそれぞれ違いますが、いずれも前者の脳そのものの病気です。
「癲癇」や「老人性脳症」の場合はやはり現在ビーちゃんがしてもらっている癲癇をおさえるお薬を飲ませることが基本となると思います。

先程もお話致しましたように、脳そのものの病気をそれぞれ正確に診断することは難しいことなので、責任あるお答えはできませんが、症状からすると私も「老人性脳症」の疑いが強いと思います。
以前に私が書きました「動物病院だより」の「痴呆」の中に「DHA」や「EPA」というものについてお話致しましたのでそれを参考にして下さい。
ただし、副作用は無いものの、いくつかある「痴呆」の症状のすべてに効果があるとは限らないので、一度かかりつけの先生に相談してみてください。

あと「パグ脳炎」という病気に関してですが、現在のところ原因は判っていませんが、病気の発症が生後9ヶ月から4才くらいの間に発生することが多い点、及び、症状や経過からすると可能性はとても低いと思われます。(2003.08.20)